『陸の界賊』、再び!!〜『陸の界賊〜弐之章〜「街角の英雄」』、公演せまる!!
「忍者戦隊カクレンジャー」のニンジャレッドサスケをはじめ多くの舞台で活躍中の小川輝晃氏を座長に迎え2006年に旗揚げした、劇団「RAT(RAMS ACTORS THEATER)」。活動二年目にあたり、本格的に劇団化していくために、メンバーを刷新(第1回からのメンバーは1/3ほど)。気持ちも新たに、第2回公演用の演目『陸の界賊〜弐之章〜「街角の英雄」』の稽古に日々励んでいる。公演は7月24日〜29日(全8公演)、神楽坂にあるtheatre iwatoにて開催。
現在「RAT」は、「エキサイトアニメ」内にブログ『界賊たちの稽古場日誌』も掲載中。メンバー自身が書き綴る想いたちにも目を通していただきつつ、稽古の模様。及び小川輝晃氏や劇団員たちのミニ・インタビューを、ここではお届けしよう。
迫真な…ではない、リアルを求めた演技!!
取材に訪れたときは、ちょうど転落事故に駆けつけ、救出するためのシーンの稽古中。演者たちがこのシーンに求められたのは、“事故に遭遇した人たちが生きてるのか死んでるのかわからない”不安を抱えながら、捜索に赴く気持ち。その「緊迫感」をいかに出すかを、役者たちに同じシーンを繰り返し演じさせながら、懇切丁寧に教えていく小川輝晃氏。
救助を担当していた2人の役者陣も、徐々に舞台用のガランとした空間が転落事故の現場に見えてきたのだろう。暗闇の中を探り探り歩いていく状況が台本に綴られていたことから、2人はあえて目をつぶり、暗闇の中を本当に手探りで倒れている人たちを探し始めていく。そう、いかに臨場感を出すかではない、本物と同じ想定にみずからの心や身体を置くかが、この劇団では一番大切なこと。
笑顔と微笑みの違いとは??!!
短い休憩を挟み、次のシーンへ。ここは、陸の界賊のメンバー2人が登場し、これまでに描いてきた物語を総括していく場面。
ここは、いろんな場面に遭遇し、さまざまな人たちの心模様を感じ続けてきたうえで、それらの想いを語りあっていくシーン。とても重い設定を敷いているようで、演じていく2人には、登場する人物の深い心模様を、説得力を持って演じていく術が求められる。小川さんは、役者陣に「どういう心境で演じているのか」を何度も問いかけながら、登場人物がどんな想いでその言葉を吐き、その動きをしていくのかを、本人に気づかせるようアドバイスを与えつつ、役に気持ちを溶け込ませるよう指導していく。たとえば、「笑顔と微笑みの違い」。みなさんはその違いわかりますか?
そういう一つ一つの仕種の意味を、演じる人たちに納得させながら稽古は進んでいく。
その言葉にどんな意味があるのか、その仕種が生まれる背景は…。演じていく人の“心の本質”をえぐっていく稽古を、シーンごとに何度も繰り返しながら、その役柄の心を少しずつ、でも確実に演者たちの中に染み込ませていく。。。
物語りに深い説得力を持たせていくためには、演じる役者たちの心に、その役柄の気持ちを、どれだけ深く憑依させていくかが大切。いや、もっと言うなら、演じてるのではなく、いかにその人自身になっていくかこそが大切なこと。それを、体当たりで小川さんは役者陣に教えていく。
生まれていく動き、躍動していく殺陣
続いて、役者陣が稽古場に全員集合。ここで、デパートの屋上シーンの稽古へ。
そこはヒーローショーの舞台。役者陣が声を張り上げ、側転しながら派手なアクション・シーンを見せていく。
メンバーたちが側転しながら、次々ポーズを決めていく。全員ヒーローに成りきっている仕種は、さすがだ。
このシーンでは、ヒーローたちが合戦を演じることから、小川さんが役者陣に殺陣を指導していく。一つ一つの動きに意味と理由を持たせ、一人一人細かく丁寧に動きを教え込んでいく小川さん。演じる役者陣も、一つ一つ身体で動きを身に付けていく。最初はゆっくりだった殺陣の芝居も、何度かテイクを重ねるごとに速度を増し、30分も経った頃にはいっぱしの形にまで仕上がっていく。なるほど、これが小川マジックか。。。本番が、とても楽しみになってきた。
RATには、役によって控えにまわっている人たちもいる。もちろん、メインの役者にアクシデントがあったことを考慮してのこととはいえ、舞台を支える人たち一人一人にしっかり演じる意味や意義を伝えていくうえでも、それぞれが役を持つというのはとても大切な意味を持つ。
メインの役者陣の指導を一通り終えたところで、小川さんが、控えの役者陣の演技を確認していく。それぞれが、少ない時間の中でどれだけ演技の勉強をしてきたか。どれだけ努力していく姿勢を示しているかをチェックしていくのも、劇団を動かしていくうえでは大切なこと。そこで努力が認められれば、メインの役者と変わる可能性も持っているだけに、メインの役を獲得したからと言って気を抜けないのが、この劇団RATの厳しさだ。
もちろん、演技を一通り確認し終わった後にも、演じた一人一人に、「役者として生きてるか?!」と精神的な面を問いかけていく。「演技を見てもらう」ではなく、「演技で魅せていく」ことの大切さ。それをこのRATは、徹底して役者陣に教え込んでいる。
その成果が形となって現れるのが、第2回公演用の演目『陸の界賊〜弐之章〜「街角の英雄」』になる。公演は7月24日〜29日(全8公演)、神楽坂にあるtheatre iwatoにて。正直なところ、演者自身まだまだ成長過程の身。だからこそ、出てくる熱気や気迫があるのも事実。そんな若い感性とひたむきさを、ぜひこの舞台から感じ取っていただきたい。
『陸の界賊〜弐之章〜街角の英雄』(公式HPより)
今回の舞台は架空の街、「偉雄(ひでお)市」にある千疋屋デパートの屋上。
「陸の界賊」のヒーローショーから始まる。
統率の取れないリーダー、「群青」の元で行われていたショーのリハーサル。
その最中、メンバーは偶然、向かいのマンションの屋上で自殺しようとしている女性を目撃する。
ただただうろたえるメンバーたち。
実はその女性を救ったのは、メンバーの元リーダー、「生成」だった。
人の「色」が見えるという生成は、彼女を「山吹」と名付ける。
生成の大らかさに触れるうち、生きることへの望みを持ち始める山吹。
しかし、そんな彼らに残酷な運命が重く圧し掛かるのだった。
そこに、運命に抗うことを決め、天界を後にした「憂我」が現れるが・・・
果たして、ヒーローショーは最後まで行えるのか。
果たして、生成は山吹と蕎麦を食えるのか。
そして界賊は、「魂」を救うことが出来るのか。
小川輝晃 スペシャル(ミニ)インタビュー
−−第2回公演の演目が、『陸の界賊〜弐之章〜「街角の英雄」』と決まりました。
ほぼ1年ぶりの公演になります。昨年の公演を観ていただいた方も楽しめる内容であり、観た方にとってはまだ解き明かされてない部分もあったと思いますから(発売中のDVD『陸の界賊〜オカノカイゾク〜』を観てください)、それを紐解く意味でもと、今回はあえて連動した作品を持ってきました。
と言っても前作の続きではなく、“陸の界賊”たちがチーム編成される前の話ですから、初めて観るかたでも普通に感情移入していける作品になってますので、安心してご覧ください。
−−今回の作品は、登場人物すべてに焦点を当てていると伺いました。
昨年演った演目でも主役/脇役を明確に分けていたように、この作品でも“主役/脇役”は明確に分けています。そのうえで今回は、物語の中で“3つのストーリー”を同時進行させていきます。それが、“陸の界賊チーム”“ヒーローショーのチーム”“マンションの屋上で人生に悩み自殺をしてしまうおかと思い悩んでる女の子”を軸にしたシチュエーション。その3つの物語それぞれの中にも主役/脇役があるよう、その他大勢という役柄は一切なく、すべての登場人物たちが何らかの“感情”を抱きながら、物語に絡んでいく流れになっています。
−−『陸の界賊〜オカノカイゾク〜』シリーズの面白さは、異なるいくつかの物語が同時進行しながら進んでいき、最後にすべてが繋がりあっていくところにあります。
現実を観た場合、いくつもの物語が、同じ時間帯の中で起きてたりするじゃないですか。その物語にしても、他人から見れば、この人が主役でこの人が脇役と思っても、脇役の人から見れば、自分が主役で、主役と見られてる人が脇役だったりもする。そうやって“同じ時間帯の中、いろんな物語が形作られ”たり、“捉え方次第で物事の見え方が変わっていく”ことって、僕は大好きなんです。
この『陸の界賊〜弐之章〜「街角の英雄」』の面白さは、同じ時間軸でいくつもの物語が進みながら、一つに繋がっていくところにあります。その中にはいろんな含みを持たせているので、一度観ても楽しめますが。2度3度と重ねてみると、より深く物語の世界観を味わえる内容にもなっています。
−−役者陣は、そこをしっかり理解したうえで臨んでいかなきゃ大変になりますね。
じつは役者たちにレッスンを付けていく最中、『このシーンは、どこにどう繋がるんですか?』という質問を何度も受けました。確かに演じている役者自身がその役や物語全体の流れを理解していないと、伝わる想いも伝わっていかないので、その辺での気持ちの摺り合わせは、役者陣と時間をかけながらしっかりやっていきました。
−−この日の舞台稽古でも、「いかに役を演じるかではなく、その人で居られるのか?!」ということを説いていました。それくらい感情移入しないと難しい役柄であり、物語ということですね。
そこが、一番のポイントですよね。前作『陸の界賊〜オカノカイゾク〜』と一番違う点が、前作はエンターテイメント性を打ち出していたこともあり、今回ほど役者の技量を求めずに済んでいたところがあったこと。つまり、サイキックラバーさんのステージや映像を通した演出効果、さらには主役キャストとして、井ノ上奈々ちゃんや酒井香奈子ちゃんなどゲストたちの手を借りながら、魅せるエンターテイメント性を求めていったんですけど、今回は本当に団員だけの手で作りあげています。そうしたのも、「役者の力量だけで、どこまで勝負していけるか」に挑戦したかったから……。
これから観る人たちに向けて言うことでもないかも知れませんが、まだまだ芝居経験の薄い子たちが多いぶん、100%の成功は難しいかも知れない。でも演じている役者陣は、本当に今苦しい想いをしながら、それぞれが“役そのものになりきろう”としている。そのひたむきな情熱さこそを、逆に魅力として花開かせたいですよね。
−−演じる一人一人が、どんな人物像を描いていくのか。そこは、とても楽しみにしています。
今回の舞台を通して劇団RATがめざしているのは、“その役を演じている人間が、どんなに魅力的な人間なのか”を打ち出していくこと。だからこそ団員たちには、『感情をさらけ出せ』『たとえ汚い部分でも、すべてさらけ出せ』『苦しんで苦しんで苦しみながら演じていけ』と、日々言ってます。じつは、そこで吐き出されるひたむきな力こそが“魅力”になるわけですし、その“ひたむきさ”を、みなさんにも、今回の演目を通し観ていただきたいですね。
星見陽介×窪田道聡×下出紗弥可×滑川恭子 スペシャル(ミニ)インタビュー
−−間もなく、『陸の界賊〜弐之章〜「街角の英雄」』の公演が始まります。みなさん、魂を削ったレッスンの日々を続けているようですね。
滑川:ここまでの道のりでさえ、本当に長かったですからね。配役され、正式に役が決まるまでにもけっこう長い期間を要しましたし、その間劇団員たちはみんな、「自分がどの役をつかむか」どころか、「本当に表舞台に立てるのか」という不安や緊張感を抱えながら、日々練習に励んでいました。そのぶん今は、ようやく光が見えてきたという感覚でいます。
星見:今回が第2回公演とはいえ、新たにオーディションを行いメンバーを集めたよう、新生RATとしてのスタートとなる公演ですので、前回経験してきた人たちも、今回が初の舞台となる人たちと一緒に再び肩を並べ、あらためてイチからすべての土台を築きあげてきました。そうやって初心の厳しさや大切さを、全員があらためて感じながら、ここまで進んできてますからね。
−−みなさんは、前作『陸の界賊〜オカノカイゾク〜』にも登場していた方々です。前作との物語的な関連は、どんな風になっているのでしょうか?
下出:この『陸の界賊〜弐之章〜「街角の英雄」』は、前作『陸の界賊〜オカノカイゾク〜』の過去の話になるんです。だから初めて観る方でも、まったくの予備知識がなくても楽しむことのできる内容になっています。
星見:陸の界賊チームは、前回と同じキャラクターが出てくるのですが、それ以外は、すべて新規キャラクターになっています。だから観る方には、それぞれが演じている役柄の、人間的な魅力に触れていただきたいですし、前作『陸の界賊〜オカノカイゾク〜』を知ってる方は、「あっ、あのキャラタクーは、じつはこういう背景だったんだ」とか、「あのときに○○を演じてた役者さんが、今回はこんな役柄を演じてるんだ」など、比較しながら楽しんでいただけるのもありかなと思ってます。
−−陸の界賊たちは、かなり精神的に重いものを背負った演技を求められそうだね。
下出:魂を斬ることで浄化させていく命運を持った、陸の界賊たち。その界賊たちは、「天界を変えよう」ということで人間界に降りてくるんですけど。天界から同じ意志を持ちながら降りてきたはずなのに、それぞれが自分なりの正義を持って突き進んでいく中、界賊どうしにも対立が起きてしまう…。
滑川:ときには、「自分が信じてきたものが否定」されたり…。それくらい、陸の界賊たち自身にも心の強さや弱さが見え隠れしていくんです。。。じつはその“心の葛藤”、登場人物全員が背負いながら物語が進んでいきます。
窪田:この物語は、3つの物語が同時進行していくので、僕ら自身が、それぞれ演じる役柄はもちろん、全体像をしっかり認識したうえで進めていかないと、「伝わる想いも伝わらなくなってしまう」恐れがあるんです。
−−3つの物語が同時進行していくところが、このお芝居の見どころや醍醐味でもあるからね。
窪田:そうなんです。ズーッと同じ時間軸の中で物語が進んでいくお芝居なら、観る側もズッと同じ感情を持続できるんでしょうけど、この『陸の界賊〜弐之章〜「街角の英雄」』は、場面が変わるごとに、それぞれの物語のテンションを築きあげなきゃいけないし、再び場面が舞台上に戻ったとき、その前の流れと同じテンションを持ったまま、それぞれの物語を描きあげなきゃいけない。そこは本当に“気持ち”で勝負していくガチンコな演技の場になっていくので、僕らも毎回気合いを入れて臨んでいます。
−−それぞれ、『陸の界賊〜弐之章〜「街角の英雄」』の見どころも教えてください。
下出:陸の界賊たちの心の葛藤はもちろん、たとえばヒーローショーに出てくるメンバーたちの中でも、最初はぎくしゃくしていた関係が、やがて一致団結していくよう、いろんな人間模様を見せていくんです。そういう心の揺れを、ぜひ観ていただきたいですね。
星見:むしろこの舞台は、「人間模様を見せるための舞台」じゃないかと思うんです。
滑川:そうだね。この舞台、主役がド〜ンと全面に出ていく物語ではなく、主役はもちろん、脇役など、登場する人物すべてに“焦点”が当てられていきます。だから観る人たちも、「この人」という誰か一人に着目しながら観ることで、いろんな物語を楽しんでいただけると思います。
窪田:このお芝居、物語の背景を理解すればするほど楽しめる内容なんですよ。それこそ、この役とこの役は昔同級生だったんだ…など、見えてるんだけど気づきにくい面もいろいろ詰め込んでいるので、その辺までつかんでもらえたら、かなりはまっていける作品だと思います。
下出:その他大勢という役柄が一切ない、集団シーンでも各個人の個性が立っているよう、いろんなキャラクターたちを追いかけながら、その“心の葛藤”を含め、3つの物語の関係性を探りながら、ぜひ楽しんでください。
星見:全部で8公演ありますし、2度3度と観るたびにはまっていく内容なので、ぜひ何度も足を運び観ていただければ幸いです。
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