2月12日・横浜アリーナ、会場中を埋めつくした1万2千人の観客たち。その会場へ現れたのは、一夜限りの巨大なMUSEUM。その博物館へ足を踏み入れた僕たちは、素敵な夢を体感していた。紛れもなく僕らは目を覚まし、現実の世界へ居るはずなのに、その空間に居る間中、僕らは確かに夢の中にいたんだ。笑顔を浮かべ、感動に心震わせながら、僕らは心地好い汗を額に感じていた。それは、とてもリアリティを持った至福の夢だったんだ。。。 TEXT:長澤智典
ようこそ、奈々MUSEUMへ 横浜アリーナという巨大な会場の中へ現れた大きな神殿。そこは水樹奈々という一人の女性の歌を通した、人生を刻み込んだ歴史館であり、美術館であり、記念館。。。 MUSEUMは、巨大なスクリーンへ映し出された元丈な扉が開くと同時に、始まりのカウントがスタートした。その扉は、シンガー水樹奈々7年間の日々をタイムトラベルしてゆくマシーンへ乗り込むための、最初の門(GATE)。突如現れた水樹奈々が、迷宮へと続くトンネルを我々のためにと開けてくれた。じつはその穴こそ、このMUSEUMをタイムトラベルしてゆくためのレイルウェイ。すかさず僕らは、その中へ飛び込んでいった。。。 ドレッシーな水樹奈々が華麗に唄い踊る 奈々(7)年間の歴史を巡る旅を幕開けたのは、『Tears' Night』だった。演奏が始まると同時に、ベビードール&ゴスロリ系のドレッシーなファッションへ身を包んだ水樹奈々が、ステージ3階へ登場。壮大なストリングスの音色を背に感じながら、彼女は情熱的に『Tears' Night』を唄いあげてゆく。なんてスケール感にあふれたプロローグなのだろう。 「いえ〜い!!!オープニング時からみんなの熱気が、3階を超え、舞台裏まで伝わってきました。今日は水樹奈々史上最長ライブということで、ものすごいことになりそうです!!今夜は最後までぶっ飛ばしていくから、みんなの気合いを見せてくれ!」 マーチングバンドと共に、軽やかに舞台上を飛び跳ねる
それまで身にまとっていたドレッシーな衣装を脱ぎ、身軽なミニ系ファッションへ変わった水樹奈々は、『パノラマ-Panorama-』の演奏と共に、会場中を軽やかに駆け回りつつ、思いきりはしゃぎながら唄い始めてゆく。続くセンチメンタルなモードも感じさせゆく『Nocturne-revision-』でも、その軽やかな歌声と表情は、とてもみずみずしさを持って伝わってきた。
『ミラクル☆フライト』では、ステージ後方へ巨大なマーチング・バンドが登場。水樹奈々も、左手にメジャーバトンを持ちながら楽しく弾けたマーチのリズムに身を預け、そのまま花道中央へと駆けだした。もちろん会場は、飛び跳ねゆく観客たちの熱気に支配されている。その熱狂を受け継ぐ形で奏でられたファンキー&ソウルフルな『Violetta』でも、派手やかなマーチングバンドの演奏を背に、彼女は軽やか/キュートに唄いあげていく。。。 唄い踊るヘッドホンマイク姿の水樹奈々が登場 ステージ下手へ、DJブースが登場。ベースのSakamoto Ryutaが、“DJ SAKARYU”として、ダンサーを交えつつ、煽りのラップやスクラッチ&DJミックス・プレイを披露。水樹ナンバーを次々と繋ぎつつ、そのビートを激しいグルーヴ・ナンバーへと転化。そのまま演奏は『still in the groove』へ。そう、ステージでもお馴染みの、ダンサーたちを引き連れ、水樹奈々がヘッドホンマイク姿で唄い踊りゆく激しい楽曲だ。熱狂渦巻くこと必死な楽曲の登場で、会場の熱気はさらに、興奮のボルテージという針をマックスまで振り切ろうとしていく。 2本のアコギの旋律に乗せ、心酔わせた水樹奈々 次のブロックでは、Cherry Boysのギタリストたち、“Kenny”こと北島健二と“ITARUBITCH”こと渡辺格と共に、花道の先に設置された中央ステージへ向かった水樹奈々。舞台の先には、3脚の椅子と、2本のアコースティック・ギターが用意してあった。 剣を持った王女奈々が、剣士と一戦交えゆく
舞台は一転。南国にそびえ立つ王国のプリンセスの雰囲気さえ漂わせゆく派手やかな衣装を身にまとった水樹奈々が、再び3階ステージへ登場。『Justice to Believe(MUSEUM STYLE)』の演奏が始まると同時に、それまで会場中を覆っていた青色のペンライトの光が、一斉に赤へと切り替わった。ステージ上の至るところから炎を吹き上げながら、舞台は壮大なストリングスの演奏も加味した情熱的な演奏へと包まれていく。そんな熱情的な音を背に、ゆっくりと階段を降りながら唄いあげてゆく水樹奈々。。。 リス耳姿の奈々ちゃんが見せたエレクトリカル・パレード
スクリーンには、当コンサートへ向けたリハーサル時のメイキング映像が次々映し出されていく。やがて『SUPER GENERATION』のイントロが流れるや、ステージ3階へ思いきり飛び跳ねながら、短パン&ニーハイ姿、頭にはリス耳を付けた水樹奈々が登場。そのまま彼女は1階へと駆け下り、多数のダンサーを引き連れながら、中央ステージまで、明るく弾けたモード満載な姿のまま、唄い歩んでいく。彼女が向かった中央ステージ先には、派手な電飾に包まれた小さなトロッコが用意されていた。そのまま彼女は、トロッコへ乗り込んでゆく…。トロッコの上から唄い踊りゆく様は、まるでエレクトリカル・パレードのよう。そのままトロッコは、後方ステージへと移動。続く、思いきり晴れやかで開放ムード満載な『アオイイロ』を、彼女はその小さな後方ステージ上で思いきり全身を躍動させながら楽しげに唄いあげていった。 「1万2千人でやるモンキーダンスって素敵じゃない?!」 その言葉を受け奏でられたのは、なんと『アノネ〜まみむめ☆もがちょ』。往時の人気ナンバー久しぶりの登場に、会場中の観客たちも思いきり両手を上下に振りながらモンキーダンスへ興じていく。もちろん水樹奈々自身も、「みんな〜可愛い〜!もっともっと踊って〜!!」とみずからも興奮のボルテージを上げながら、アリーナ客席前方に設置された花道をゆっくり歩きながら、同曲を唄いあげていた。 雪空舞う天使
ここで、Cherry Boysのメンバーらが担当パートをシフトし演奏するという遊び心も登場。重奏なデジタル・フレーズが流れると共に、3階ステージへ背中にピンクの羽を背負った白いドレス姿の水樹奈々が現れた。彼女はたたみかけるようなラップ調の唄声を魅力に、力強い表情満載のもと『Heaven Knows』を唄いあげてゆく。その姿は、今にも天へと羽ばたいていきそうな前向きな姿にあふれた、孵化し、誕生したばかりの蝶々のようだ。 「よくラジオ番組で新曲の初解禁っていうのはあるけど、ライブの場が新曲の初お披露目ってあまりないよね。今日は特別な夜じゃない。だから歌っちゃうおかな」 ここで、4月からスタート・彼女もフェイト・T・ハラオウン役で登場する“魔法少女リリカルなのはStrikerS”のオープニング曲として流れる、水樹奈々作詞による『SECRET AMBITION』を演奏。クールながらもパワフルさ全開で躍動していく楽曲だけに、ブラウン管から流れてくるのが、ホント楽しみになってきた。。。 水樹奈々、母親からの手紙に号泣。。。 ここで、Team-YODAによるダンスが登場。続けざま『suddenly〜巡り合えて〜』のイントロが流れるや、セクシーな姿をした水樹奈々が、今度は後方ステージへ登場。ここからは、超盛り上がりナンバーの連続攻撃だ。
本当なら、ここで水樹奈々から観客たちへ向けた感謝のひと言が述べられ、そして最後の曲へ入っていく予定だったが。突然の、嬉しいサプライズが登場。それは、巨大なスクリーンへ映し出された母親の手紙だった。 「引っ込み思案な私が、ひとたびマイクをにぎり、歌の主人公になったとたん、一番自分らしい姿になれた。普段は照れくさくてなかなか言えない『ありがとう』の気持ちも、こうやって歌を通してならみんなにも伝えられる。本当は今日、みんなへの『ありがとう』という感謝の気持ちを伝えるため歌おうと思ってたのに、またみんなに『ありがとう』の想いをもらっちゃった気分です。。。本当なら次の言葉は言いたくないんだけどね…」 本編最後に唄いあげたのは、バラード・ナンバー『ひとつだけ言えるなら』。最初は涙声混じりで歌っていた彼女だが、最後はしっかりたくさんの想いを込めながら、僕らの胸へ『ありがとう』という感謝の気持ちを届けてくれました。 一緒に一つに甘く溶け合おうよ
再び視線は3階へ…。金色のロングドレスに身を包んだ水樹奈々が登場。奏でたのは、『残光のガイア』。大陸的かつオリエンタルなムードを持った独美放つ楽曲を、力強く唄いあげてゆく水樹奈々。ステージ前方では、2人のダンサーが妖艶に絡んだ踊りを魅せていく。。。 「シャ〜スッ!!」 お馴染みの挨拶の登場だ。そして…。 「まだまだ帰りたくないよね。ここからまた思いきり盛り上がるよ」
そう叫ぶと共に、『New Sensation』の演奏がスタート。金色のテープが発射され、観客たちの頭上へと降り注いでいく。なんて美しい光景だろう。楽曲が始まると同時にロングドレスを脱ぎ捨てた水樹奈々は、スポーティな格好になり、肩からバッグを下げ、再びアリーナをグルッと囲んだ花道を唄いながら歩き出した。しかも彼女は、ときどきバッグの中から何やらプレゼントを取り出しては、客席へと投げ入れてゆく。そう、あれはまさしくバレンタイン用のチョコ。きっとそのチョコを受け取ったファンの人たちには、最高のプレゼントになったろうね。 そして最後は、始まりの歌で…
再びステージへ登場した水樹奈々。彼女がこの日の歴史の旅を巡る楽しい旅行記の、最後の演目として用意したのが、デビュー曲『想い』だった。 「自分の中でもメチャクチャ思い入れのある、私のスタート地点の曲です。最後に、心を込めて唄いたいと思います」 シンガー水樹奈々としての始まりの姿を、あえて奈々(7)年間の歴史を締めくくる最後のメニューとして披露してくれた。。。その想いが意味すること…それをここで綴るのは、辞めておこう。きっとみんなもそこへ込めた彼女自身の想いは感じていることだろう。だからこそその言葉は、それぞれの胸の中へ預けておこうと思う。 約4時間に及んだこの日のステージ。確かに水樹奈々史上最長時間というのも、記念的なことかも知れないが。それ以上に、新ためて水樹奈々自身の裸な姿へと触れ、しっかり心の温もりを感じれたことが、僕にとっては何よりも忘れ得ぬ永遠の財産になった。
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続く
●ベストアルバム『THE MUSEUM』