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8月5日に発売となる、高橋直純制作によるコンセプトミニアルバム&写真集『scene〜残したい風景〜』。彼の心の中へ描き出された「忘れたくない風景」を、写真集を通しビジュアルとして記録。同じくそれらの景色を、彼は8篇の楽曲として音盤の中へ刻み込んできた。
このインタビューでは、1曲1曲“心の旅”を回想しながら、ミニアルバムや写真集へ込めた想いなどを、かなりじっくりと記録。高橋直純自身が感じている想いの丈を、しっかり受け止めて頂きたい。
Concept Mini Album『scene 〜残したい風景〜』より…
−−Introduction−−
――まずは、Concept Mini Album『scene 〜残したい風景〜』を作ろうと思った、そのきっかけから教えてください。
一番の根源は、岐阜市にある名鉄の路面電車が今年3月いっぱいで無くなってしまうという話を聞いたこと。岐阜県は、僕もラジオ番組をやっていることもあり、よく足を運んでいたところだし、応援してくれる人たちも大勢いる土地ということから、とても親しみのある場所だったんです。そういう背景もあり、「僕にとっても馴染みの深かったあの路面電車の風景をなんとか残せないものか…」と思ったのが、最初のきっかけでした。
――当初は、路面電車にまつわる企画盤にしようという計画があったそうですね。
そう。でも、昨年後半に入院してしまうというアクシデントが発生。また、“写真集を”というお話を新たに頂けたこともあり、写真集だけを発売するのはこっぱずかしいので、“物語を聞きながら写真たちを見れる内容なら…”との想いから、「写真集とミニアルバムをリンクさせる形で制作しよう」という話が、今年に入り具体的にスタートしていきました。
――まさに、1年越しの作品化だ!
そうですねぇ。自分の楽曲としても、発売は4thシングルの『愛しくて』以来、約1年振りになりますからね。
――ミニアルバムへ収録したオリジナル楽曲に関しては、非常に赤裸々な思いを綴った歌詞も多いですしね。
全部身を削って作ってますからねぇ。ホントもぅ、全体を通しかなり赤裸々な作品へ仕上がったと思いますよ。ではさっそく、1曲ずつその想いを紐解いていきましょうか…。
Concept Mini Album『scene 〜残したい風景〜』より…
−−『初恋』−−
――作品の冒頭が飾ったのは、村下孝蔵さんの手による『初恋』です。
この歌は親戚のお兄ちゃんがよく聞いていて、小さい頃からすごく心に残っていた歌というか、この楽曲を聞くたびに、学生時代の甘酸っぱい想い出も、つい甦っちゃいますし。大人になってからも、カラオケで歌うたびに「すごくいい曲だなぁ」と、どんどん好きになっていっていた楽曲だったんです。
――そんなことがあったんですね。
まして「今回の作品のコンセプトにもピッタリじゃないか」と言う思いから、『初恋』の収録を決めました。
――いきなり語りからスタートするのには、素直に驚いてしまいました。
僕はこの楽曲のABメロの歌部分がすごく好きなんですけど、アレンジの上がってきた楽曲を聞いたら、いきなり語りになっていたから「えっ、歌えないの?」って、僕自身も最初は驚いたんです。正直「なぜしゃべらなきゃいけないの?」と、自分の中で昇華するまでに時間もチョットはかかったんですけど…。
――それは何故に?
僕の場合、声優という仕事も多くやらせて頂いていることもあり、しゃべると誰かのキャラクターに似てしまうことから、トークやラップでは“高橋直純として伝えていくのが難しくなる”という懸念を、ズッと持ち続けているんです。でもスタッフの方々や声優仲間が、「格好いいアレンジだねぇ」「このスタイル、全然有りなんじゃねぇ?!」という言葉を投げかけてくれたこと、そして何よりも、ラジオからいきなりこの楽曲が流れてきて、サビでお馴染みの歌が流れ出すと、「これ知ってる〜!!」と嬉しい驚きを覚えてもらえるかな…と言うことで、このスタイルでの録音を決めました。
――直純くんも、初恋では「好きだよ」と言えなかったタイプ?
僕は、全然言ってないですね。どちらかと言うと、好きな子をいじめていた方ですから(笑)。それこそ、おっかけまわしてはいじめてと、ひどかったんです。だって僕、その好きな子に「大嫌い!!!」って言われましたもん。いまだその癖が続いてまして、好きな人からは「好き」と言われることがないんです。
――直純くんがいじめてる女の子は、好きの裏返しということだ。
アハハハハッ!でも、そうかも知れないですね(笑)。とにかく、1曲目の“つかみと驚き”という面では、まさに相応しい幕開けの楽曲になったと思います。
Concept Mini Album『scene 〜残したい風景〜』より…
−−『カナリヤ』−−
――この歌の歌詞には、昨年入院していた頃のいろんな思いが綴られているそうですね。
そう。去年入院したときに、毎日筆談をしていたし、日記も書いていたんですけど。そのときにノートへ書いていた言葉をまとめたのが、この『カナリヤ』なんです。
――そのときの想いを、こうやって形として記録しておきたかったんだ。
そうですね。病気をしたときのしんどかった思いって、喉元過ぎれば…じゃないけど、元気なときほど忘れてしまうじゃないですか。だけど今回のミニアルバムは、“残したい気持ちや風景”が主軸だったこともあり。僕の人生の中でとても衝撃的だった“2004年の入院という日々のこと”を、やっぱり残しておきたかったんですよ。実際、いろんな人たちから頂いた暖かい言葉たちによって立ち直った面も大きかったし。そういう「嬉しかった気持ちを歌を通して伝えたいなぁ」と思い、この『カナリヤ』を書き上げました。
――歌詞には、かなり悲観的な言葉も多いよね。
今だからこそ、それらの言葉を客観的に捉えられるけど、当時は、その気持ちの渦中にいましたからね。ホント“希望がない状態”だったと言うか。僕は「本当にこれで終わりなんだなぁ…」という気持ちで、ズッといましたし。♪声を無くしたカナリヤ♪や♪心の細胞壊れてく♪っていう言葉のよう、まさに当時はそんな気持ちだったんですよ。「なんで、ここまで悪いことばかり考えてしまうんだろう」と思えるくらい、何言われても聞く耳持たなかったし、治る気もしなかったので…。
――だけど、復活をするための入院という前提があったわけじゃない。
結局、心が“うちひしがれていた”んでしょうね。今年は、2年ぶりの夏ということで、すでに暴飲暴食してますけど(笑)。去年は何も食べられなかったし、飲めなかったし…なにせ、水さえも飲めなかったですからね。
――DVD 「Naozumi Takahashi A'LIVE2004『SUMMER WIND』〜待たせてごめん。やっと会えたね!〜Document Side」にも、ウィダーインゼリーばかり飲んでる姿が映っていたもんね。
当時はヨーグルトを食べようにもすっぱすぎるあまり、喉に染みてダメだったくらい。唯一飲めていたのが、ウィダーインゼリーの青いやつと若干緑のやつ。同じウィダーインゼリーでも、アップル味になると喉に染みてダメだったんですよ。一時期は、プッチンプリンも平気だったんですけど。次第にあれも喉を通らなくなり。だけど、病気を直すためにも薬は飲まなきゃいけないわけで。でも水では飲めないから、薬までウィダーインゼリーで飲んでましたからね。
――2時間チャージどころか、24時間チャージ状態じゃない!!
去年だけで、普通の人の一生分は飲んだんじゃないかな。それこそ、1日何個も。だけど当時の食事は、ホントそれだけでしたから。当時の冷蔵庫なんて、開けるとウィダーインゼリーしか入ってなかったから、木村拓也さんもビックリだったと思いますよ(笑)
――そりゃあ、どんどん痩せてくよねぇ。
「やっぱり人間、生物を食べないと駄目なんだなぁ」というのを、痛感しましたね。『カナリヤ』の歌詞へは書いていませんけど、当時のノートには、「カツ丼を食いたい」「ハンバーグが食べたい」「ウナギが恋しい」など、そんな言葉も羅列してあったんです(笑)。
――DVD「Naozumi Takahashi A'LIVE2004『SUMMER WIND』〜待たせてごめん。やっと会えたね!〜Document Side」を見てくれた人ならわかると思うけど、入院前と退院後じゃ、表情がまったく違うもんなぁ。
入院前は、無意識のうちに喉元を抑えてたりと、グッタリしていたのが、退院後は止まらないくらいしゃべりまくってるほど、「あのおしゃべり好きな俺がしゃべんねぇって、どういうこと??」みたいな感じでしたから(笑)
――歌詞はとてもナーバスですけど、楽曲は開放的で爽やかな印象も受けます。
かなり赤裸々な内容なので、最初は曲調もスローな感じで、切々と歌うようにしよう…と思っていたんだけど、そうすると、あまりにも暗くなりすぎちゃうので、あえてアッパーな感じにし、楽曲を聞いていると心地好いのに、歌詞は意外とショッキングという形にしていきました。
それに歌って、“いろんな人に聞いて欲しいからこそ作る”わけですから。あまりにガチガチと「こういう内容です」と説明した歌にしてしまうと、ホントにマニアックな楽曲に陥ってしまう。そうじゃなく、それこそ僕が入院してたことを知らない人が聞いても、「なんかこの言葉が好き」と言ってもらえる内容にしたくて。この『カナリヤ』の歌詞が出来あがったんです。
Concept Mini Album『scene 〜残したい風景〜』より…
−−『なごり雪』−−
――続いては、イルカさんが歌っていた名曲『なごり雪』です。
大好きなんですよねぇ、この曲。僕、実家から再び東京へ向かうときに新幹線へと乗り、バーッともの凄いスピードで懐かしい景色が離れてく様を見るたびに、季節に関係なく何故かいつもこの『なごり雪』が頭の中へ流れ、涙が出てくるんですよ。また帰ればいいことなんですけど、実家から離れていくのって、なんか今でも寂しいんですよね。
――初めて上京したときも、やはり頭の中へ流れてました?
流れてましたねぇ。卒業式が終わり、就職するため初めて東京へ向かったわけですけど、中に出てくる♪東京で見る雪はこれが最後ね♪という言葉が、ホントすごく好きで。あの頃は「夢が叶うまで岩手には帰れねぇ」という気持ちを持っていたこともあり、「岩手で見る雪は、僕にとってはこれが最後なのかも知れない」くらい、哀愁を背負っての旅立ちでしたからね。
――旅立つときって、なんで哀愁を背負ってしまうんだろうね。
旅立つときって、毎回寂しいし、泣いちゃいますよね。今でも僕にとって、実家の玄関がヤバいポイントって言うか、帰ってきて玄関をくぐったときは、「やっと着いた」と楽しくなるんですけど。そっから離れるときが、毎回寂しくって。つい、幾つになっても泣いてしまうんですよね。
――楽曲のアレンジは、あまり原曲と変わってないような??
そうですね。ホント「そのまんまの『なごり雪』を、高橋直純の歌声として届けたい」との想いから、原曲の雰囲気を活かした形にしています。
Concept Mini Album『scene 〜残したい風景〜』より…
−−『夏色の翼』−−
――これは小森まなみさんとのユニットAsR時代に歌っていた楽曲であり、昨年夏に行なった全国ツアー「Naozumi Takahashi A'LIVE2004『SUMMER WIND』〜待たせてごめん。やっと会えたね!〜」のときも歌っていた曲でしたけど、歌詞がまた今の心境にピッタリなほど、リアリティを持った内容になってます!!
おっしゃられたように、もともとこの楽曲は、去年の夏ツアーのときにも「ズッと待っていてくれた地方のファンの人たちのために」ということで、メニューへ入れていた歌だったんですけど、今年1月に中止となった2ヶ所3公演の振り替えコンサートを演ったときに演奏したら、余計泣ける歌になっちゃったと言うか。♪去年泣かせた君のためにこの歌を贈りたい♪という言葉が、ほんとグッと来るんですよ。
――まさか楽曲を作った当初は、こんなことになるなんて…。
そんなこと、思いもよらず…。「まさしく、今の僕の心境にピッタリ」という詞の内容であり、歌詞の最後の方へ、いろんな夏の風物詩がバーッと出てくることもあり、「この歌は残しておきたい」と思い、収録を決めました。
――この楽曲がこうなるのは、もともと導かれていた運命だったのかなぁ…。
その言葉を、レコーディングスタッフの方も言ってたんですけど。ここまでの流れというのは、もしかしたら本当に「あらかじめ、運命へ導かれていたもの」だったのかも知れないですよね。
――もちろん、今年の夏ツアーでも歌うんでしょ。
去年は、地方でズッと待っていてくれたファンの人たちのためにと選び、歌った楽曲だったんですけど。今年もまた歌うことになるとは…でも、ホント嬉しいですね。アレンジも原曲よりテンポ感を上げ、みんなで手拍子しながらノレる曲調にしてあるので、よりライブ向けになった感じがしてますし。
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