エキサイトアニメトップ > インタビュー > RED GARDENスペシャルインタビュー第1弾『キャラクターデザイン/総作画監督:石井久美

インタビュー

『RED GARDEN』の“キャラクターデザイン/総作画監督”として、物語の世界へ優美な彩りを与えているのが、石井久美さん。松尾衛監督とは、『ローゼンメイデン』でも共に作品のクオリティを凌ぎあった関係。こだわり派な石井久美さんが、『RED GARDEN』へどんな意志のもと製作参加しているのか、その心の内側を伺った。

TEXT:長澤智典

キャラクター設定とは…

−−まずは、“キャラクターデザイン/総作画監督”とはどういった仕事内容なのか…から、教えてください。

私がやっているのは、アニメーション用のキャラクター・デザイン。この『RED GARDEN』で言えば、キャラクター原案を描いた藤純さんから上がってきたキャラクターたちを、松尾監督と話しあいながら、動かすための絵柄へと設定。実際にアニメの絵としてアニメーターさんへ伝えやすくしていく。その絵をハンドリングしてゆく監督に当たります。

−−藤純さんが『RED GARDEN』用に描いたのは、とてもモード系な印象を与えゆく個性的なキャラクターたちばかり。それらを絵として動かしていくのは、とても大変な作業になっていきますよね。

松尾監督が、藤純さんの絵をキャラクターの原案へ起用したのも、あの個性的なイメージがあってのこと。もちろん私も一人の表現者として、自分の色を投影していきますけど。何よりも、藤純さんの描いてきた各キャラクターたちの絵の特徴的な個性や色彩的な部分など、それぞれの良さを活かしながらわかりやすく伝えてゆくことを考えなければいけませんし、それが私の役割だとも認識してますから。。。ただ大変か…と言えば、それはないです。だって、好きでやってることですからね。

−−石井さんは、絵を動かすとき、何に一番神経を注いでますか?

キャラクターのイメージや印象ですね。

メインキャラクターたちの個性あふれる特徴!

−−そのキャラクターたちなんですが、メインキャラクターの4人を描くうえで心がけた点も、ぜひ教えてください。

まずケイトですが、彼女のイメージはイギリス系の女の子。松尾監督にあらかじめ言われたのが、「目元の印象がきつくならないように」ということです。彼女、すごく痩せてる子でしょ。だけど年齢的には17〜18歳ですから、頬にふくよかさを出したり、髪の毛もサラサラッとした様を描いたりしていきました。
レイチェルとローズは、髪の毛がフワフワッとした女の子。いわゆる「(通常の)アニメで描くカールやウェーブよりも、もっと雑然としながらも柔らかい感じを出したい」という松尾監督の要望を取り入れてます。これは4人に共通することですが、見た目的には大人っぽい顔立ちだけど、子供らしさもしっかり取り入れてくということ。中でもレイチェルは、きつそうな顔立ちの子だけに、そこへいかに少女らしさを出していくかを特に心がけていきました。
クレアは、ヒスパニックの血が入った女の子。みんな人種もバラバラなだけに、鼻や唇の形へ個々の特性を描いていったんですけど、クレアはより人種の差を出したかったがために、その辺が顕著に描かれた子になってると思います。
ローズは、ちょっとぽっちゃりとした女の子。4人ともリアル感を追求してるんですけど、その中でもローズは、一番アニメーション的なキャラクターの描き方になってますね。

髪の毛に入れてるグラデーション、そこが注目点!

−−個々の感情の見え方も、とても明瞭に描かれてますよね。

『RED GARDEN』という作品自体が、とても“感情の起伏”の出やすい作品なんです。実際物語の中へも、泣いたり、笑ったり、怒ったり、怒鳴ったりという、10代の子が強く持ちやすい感情表現を、より現実味を持って描くよう心がけてますし、何よりも作品自体が“リアルな人間像”を描きあげているだけに、みなさん“感情表現を描きやすいキャラクターにもしてある”という秘密もあるんです。

−−こだわりと言う面では、髪の毛へグラデーションを入れてる描き方。そこも普通のアニメーションでは、なかなか描かないところですよね。

私自身、グラデーションを描いた絵にしたかったというのもあったんですけど、原案を描いた藤純さん自身の描く絵も、背景や洋服,肌へグラデーションを描き出すことが多かったんですね。「だったらアニメーションでも、そこを活かしていきたい」という想いは、最初から強くありました。それと衣装。藤純さん自身ファッションには強く興味を抱いてる方ですし、そこを好んで描く方ですから、その部分もしっかり活かしながら表現しています。

日毎に変わる洋服にも、注目!

−−普通アニメーションだと、キャラクターたちは毎回同じ衣装だけど、この作品へ登場する女の子たちは、次々とファッショナブルに洋服を着替えていきますよね?

1日ごとに着替えるのは、当たり前のこと。まして、これだけスタイリッシュな絵を描いてる作品である以上、なるべく今の時代性を反映させつつ、各キャラクターの個性にあった洋服を着させていきたいじゃないですか。確かにお話の面では、さほど衣装に関しては重要視され観られることはないかも知れませんけど、1日というサイクルごとに各キャラクターたちを着替えさせているぶん、(時間軸の交錯した作品だけに)そこへも視線を注ぎつつ、観ていただきたいですね。


『RED GARDEN』は海外風連続ドラマ?!

−−石井さん自身は、『RED GARDEN』という作品をどのような印象で受け止めてます?

イメージとして思い浮かんだのが、1時間の海外でやっている連続ドラマ。主人公たちを取り巻くいろんなことがだるま式にガーッと起きていき、どうにもいかない状況へまで主人公たちが追い詰められていき、最後は…という雰囲気は、まさにそうですよね。実際に『RED GARDEN』も、1話完結ではなく、1本の物語が最終回までいろんな展開を含みながら進んでゆく物語ですしね。そこを楽しんでもらいつつ、同時に“リアルな現実の中へ不思議な設定が成されてる”というところにも、注目していただきたいんです。

−−この作品は“プレスコ”と呼ばれる、先に音声を取り、そこへ絵をあてはめてくという工程を取りながら製作が進んでいますが。その影響が、キャラクター・デザインの中へ波及してゆくこともあるんでしょうか?

たとえば、サントラ盤が先行発売され、その音を聴きながら描いたほうが臨場感が出ることがあるように、物語の世界観をより効果的に演出していくうえで、声が先にあることでイメージを作りやすい印象は持っています。でも、そこへ大きく左右されるということは、私に関してはさほどないですね。

−−あっ、そうなんですね。

でも、さきほども言ったように、イメージを大きく膨らませてくれるものではありますよ。たとえば「声優さんはこういう風に感じながら演じたんだ」と言うのが伝われば、「私もこうしてみよう」と描いたり。微妙な表情の変化などは、先に音やセリフがあれは、余計リアルに描きやすくなるというのも、事実です。

「あ〜っ!」という部分が何なのかを、ぜひ楽しみに観てていただきたいですね。

−−この『RED GARDEN』の魅力、石井さんはどこにあると思いますか?

何よりもまず、『RED GARDEN』は完全オリジナル作品であるということ。だからこそ、観る側も結末が最後までわからないじゃないですか。ましてこの作品、最初はとっつきにくい印象も与えますけど、物語が進めば進むほど引き込まれていく。そして最後は「あ〜っ!」という声が漏れ出てくると思うんです。その「あ〜っ!」という部分が何なのかを、ぜひ楽しみに観てていただきたいですね。

−−石井さんと言えば、『ローゼンメイデン』『RED GARDEN』と、キャラクターの際立った作品を手がけることが多い方ですけど、そこが石井さん自身の魅力を形作ってゆく要因にもなっているんでしょうね。

じつは私、その辺はことは自分じゃよくわからないんです。おっしゃられたような印象も、周りの方々に言われて「あっ、そうなんだ」と思ったくらい、正直私自身その辺のことは客観的に捉えられてないと言いますか。。。ただ一つ言えるとしたら、私自身が楽しみながら絵を動かしてるということでしょうね。

−−今後も、どんな風にキャラクターたちが画面の中で活きていくのか、楽しみに観続けていきます。じゃあ最後に、ひと言お願いします。

メインの子たちはもちろん、サブキャラや、彼女たちを囲む人たちの中でもいろんな話が進んでいくぶん、最初はなかなか全体像をつかみにくいかも知れませんが、でも最後にはキュッと集結していく。その流れこそが大事であり、見続ける楽しみを作りあげてく要因にもなっていますので、そこへ注目しながら毎週観てください!

放送情報

TVアニメーション「RED GARDEN」

・テレビ朝日:毎週火曜日26:40〜 好評放送中
・サンテレビ:毎週日曜日25:30〜 好評放送中
・AT-X:11月17日放送開始!
毎週金曜日11:00/22:00 毎週火曜日16:00/26:00
※放送時間が変わる場合がございます

石井久美プロフィール

アニメーションキャラクターデザイン/総作画監督
キャラクターデザイン・総作画監督:ローゼンメイデン、ローゼンメイデン・トロイメント
キャラクターデザイン:いちご100%(OVA)
作画監督:ガドガード ほか