エキサイトアニメトップ > インタビュー > RED GARDENスペシャルインタビュー第2弾 美術:甲斐政俊/色指定:古市裕一/3D(ビジュアルコーディネーター):佐々木研太郎

インタビュー

スタッフ・インタビュー・シリーズ。第2回目に登場してくださったのは、「美術担当・甲斐政俊」さん、「色指定担当・古市裕一」さん、「3D担当(ビジュアルコーディネーター)・佐々木研太郎」さん。3人が彩る『RED GARDEN』の世界観、それぞれのこだわりなどを、いろいろ語っていただきました。

TEXT:長澤智典

それぞれが担う『RED GARDEN』での役割とは…

−−まずは、『RED GARDEN』内でどんな役割を担っているのかを、教えてください。

甲斐:街並みや背景画など、『RED GARDEN』の世界観を彩る美術全般を担当しています。

古市:僕はキャラクターの色や、肌の色、髪の毛のグラデーション。朝や夕方、夜など、その時間帯に合わせた色替えなど、主にキャラクターに関する色を担当しています。

佐々木:3Dとは言ってますけど、基本は背景の補助を担うと言いますか。舞台となる街並みや橋などの遠景用の舞台を3Dソフトで作りあげ、それをレンダリングした画像を美術の甲斐さんに渡し、甲斐さんが実際に一枚の背景絵として描きあげてゆく。そういう背景作画のお手伝い的な役割を担っています。

−−『RED GARDEN』の魅力として欠かせないのが、リアルかつ細微な背景描写にあると思います。

甲斐:そこへのこだわりは、すごいですからね。第一話でルーズベルト島という島の俯瞰を、カメラがズーッとなめていくんですけど、あれは実際に現地まで足を運び撮影してきた写真をもとに、いろんなパーツを組み合わせ、細部まで緻密に再現。それを組み合わせ動かしてる絵なんですよ。

古市:観てる人で、どれだけの人が気づいたかわかりませんけど、その映像の中では、車が行き来してたりなど、生活している様がしっかりと表現されているんです。

−−ものすごい、細かなこだわりぶりですよね。

古市:普通のアニメよりも、こだわりは多いと思いますよ。実際に甲斐さんの描いている美術ボードの数も、通常のアニメ作品と比べたら、とても多いですし。各キャラクターの色彩一つを取っても、実際に若者たちが着ている服を表現したいという決まりのもと、通常の作品で使うよりも多くの色彩を取り入れ、デザインも細部に渡り再現しながら色を決めています。

リアルに再現する…それが、何よりの鉄則!

−−それだけ、松尾監督自身のこだわりが強いということですか?

甲斐:こだわりですよ。今回は実在する島を舞台に描くということから、「嘘をついた絵など描きたくない」ということで、実際に島まで足を運び、膨大な数の写真を撮ってきましたから。

佐々木:島の対岸から見える街並みの風景や、学校の屋上から見える風景などもすべて、実際の風景を元に描いたボードを組み合わせ作りあげているので、知ってる人から観れば、「現地のまま再現されてる」というのがわかっていただけると思います。

甲斐:舞台背景のポイントとなる場所は、大方抑えています。島から対岸を観たときに見えるビル群の風景から、特徴的なビル自体はもちろんのこと、路地裏にも入って撮影してきましたし、時間帯ごとに見える景色も必要ということから、同じ景色でもいろんな時間帯によっての表情も撮影。画面でも、時間帯ごとの背景の変化もしっかりと描きあげています。まぁ帰ってから松尾監督と話していたら、「あそこは普通観光客など足を運ばない、怖い地域だ」と教えられたなんてエピソードもありましたけど(笑)

佐々木:NYはチョット移動をするだけで、街並みもガラッと変わるんですよ。それまでアスファルトの道路だったのが、いきなり石畳風の道路になったり。もちろん景色だってガラッと変わるぶん、甲斐さんの描いてるボードも、場所を移動するたびにガラッと変わっていくんです。そういう細かい背景の描写にも、視線を注いでもらいたいですね。

甲斐:向こうは場所によって、100年前の建物と現在の新しい建物とが混在しながら建ってたりもしますからね。それこそ角を曲がったとたんに、ガラッと世界観が変わったり。しかも、さきほども言ったよう、時間帯によって景色の色も変わっていく。それらをリアルに再現するよう、この作品では心がけています。

佐々木:普通の作品は、最初のほうで舞台設定的なものを作成してしまうと、その設定を使い回ししてゆくことになるから、後半へ進むにしたがい設定作業は減ってゆくんですけど、この作品は、進むたびに新しい舞台背景が出てくるので、労力が減るということはまったくないですね。

古市:キャラクターだって、どんどん増えていくし、ひとつの話の中でも、同じキャラクターの人が、時間帯や日付を挟むことによって洋服を着替えたり。監督いわく「次の日になったら洋服を着替えるのは当たり前のことだから」という。。。そういうところにもこだわりが強いため、舞台の背景が増えれば増えるだけ、洋服の数も増えていってます(笑)

松尾監督からの要望…

−−よく学校と街を繋ぐ移動中の風景の一つとして登場する、橋の映像。あれも、ものすごくリアルに描いてますよね。

佐々木:あの橋は、甲斐さんが真横から撮ってきた写真をもとに、形を起こしていったんですけど、あの橋って、ものすごい大きさなんですよ。その臨場感を出すためにと、たまたまいただいた写真の中へ、松尾監督が橋の横に立ってる写真があったことから、監督の身長を基準にしながら、ここは3M(松尾監督3人分の高さ)など図りながら計算し、形にしていきました。

−−古市さんにも、監督からの依頼があったそうですね。

古市:僕が監督に言われたのが、「白黒っぽい印象の絵にはしたくない」ということ。普通の作品の場合、色の彩度をどんどん落していくと背景の世界へ馴染んでいきやすいんですけど、「それはやりたくない」と。だからキャラクターの洋服の色彩バランスを考えるときにも、なるべく同じ系統の色あいは避けるようにしていきました。例えば、赤系統の色の服を着てたら、下はブラックじゃなくてブルーのジーンズだったりなど。そういう配色のバランスには、かなりこだわってます。

それぞれが伝えたい、『RED GARDEN』の見どころ

−−それぞれがぜひ感じていただきたい、『RED GARDEN』の見どころも教えて欲しいのですが。

甲斐:舞台となっているルーズベルト島は実在する島であり、その風景を忠実に描き起こしているので、そこを観て欲しいですね。さきほど佐々木さんも言っていたように、学校の屋上から観た風景にしても、学校は架空とはいえ、その位置の高い場所から俯瞰で見える風景を、リアルに表現してあります。もちろん他の風景や、家の中のデッサンにしても、アメリカの文化がしっかりと見える、広い空間の中での絵作りを行っています。

古市:衣装変えが、通常の作品より多いのはもちろん、その衣装も、各キャラクターの個性に合った、「この子だったら、これを着てそうだね」というセレクトが成されているので、そこをしっかり観て欲しいなと思ってます。

佐々木:僕はむしろ、3Dなのに、そうわからないようにという作業を担当しているぶん、観ている側が背景や絵の質感へ違和感を感じることなく…むしろ、普通に物語へ没頭し楽しんでいただければ、それが「上手く世界観に馴染んでるんだな」という技の成功に繋がっていきますから、普通に楽しんで観ていただいてれば、それで十分です(笑)

古市:だけど好きな人には、「何処へ3Dの映像が使われてたか」を見破ってもらいたいですよね。第二話に登場する駐車場のシーンが3Dだなんて、きっと誰も気づいてないと思いますし。

佐々木:そういう、気づかれにくいシーンは多いと思いますよ。第二話の駐車場のシーンはもちろん、第四話以降に出てくる、対岸から観たNYの街並み。学園の屋上から見える風景や、金網越しに観てる街並み。さらに橋自体から、橋の上へ描かれゆく、まるで肉眼で観ているかのような動きなどなど。。。

−−わざと、フィルムの質感を出してるという話も聴きました。

佐々木:作業は普通にPC内で行うため、昔のように手塗りでやっていたときのようなざらついた感って、逆になくなってしまうんですよ。松尾監督からも、「お客さんの目に馴染むようなノイズを入れたい」という要望もあったことから、「一度フィルムに焼いて、改めてデジタルへ戻したときのようなノイズ感」を出そうと、わざとぼかし込みや粒子の素材を乗せ、汚しやざらついた感を出したりということもやってます。

こだわりの現場と、こだわりの職人たちとのせめぎ合いの作品

−−その細かいこだわりっぷりが、『RED GARDEN』独特な世界観を作ってるんですもんね。

佐々木:普通の監督だったら絶対に手を出さないようなところまで、松尾監督自身が経験上わかってるがゆえに、「ここまで出来るでしょ」とつっついてくるんです。
しかもすごいのが、費用と効果と時間と労力の見極めをわかったうえで指示をすると言いますか。「このくらいの時間と労力を使えば、ここまでのことが出来る」ということをわかったうえで振ってくるぶん、無駄な労力がないんですよ。だからこそ、こちらも信頼を持ってその挑戦を受けてるところもありますし。

古市:いろんな人たちの“血と汗と涙”の結晶が、この『RED GARDEN』になってますので。ぜひ細部まで観てください。

放送情報

TVアニメーション「RED GARDEN」

・テレビ朝日:毎週火曜日26:40〜 好評放送中
・サンテレビ:毎週日曜日25:30〜 好評放送中
・AT-X:毎週金曜日11:00/22:00 毎週火曜日16:00/26:00 好評放送中
※放送時間が変わる場合がございます