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ゲームソフト『機動新撰組 萌えよ剣』、そして現在放送中のアニメ『機動新撰組 萌えよ剣TV』の原作を担当している広井王子。彼がどのような想いからこの作品を誕生させたのか、あらためて原作者である広井氏の口から、『機動新撰組 萌えよ剣』シリーズ誕生の経緯を伺ってきた。
パーティでの社交辞令から、一気に高橋留美子先生との出会いへ
――テレビバージョンもUHF系とはいえ高い視聴率を誇り、大人気放送中の『機動新撰組 萌えよ剣』シリーズ。そもそもこの作品、どんな経緯から生まれたんですか?
もぅ8年くらい前になるのかな、たまたまとあるパーティでエンターブレイン社の山崎プロデューサーとお会いしたんです。彼は元々ハドソンに居た方で、当時一緒に仕事をしたこともある仲だったこともあり、「元気〜!」「広井さん、今度また一緒にやりましょうよ、最近何か面白そうなネタってあります?」「次、女新撰組をやってみたいんだよねぇ」「えっ、なんですかそれ?!」という、いわゆるパーティでよくある社交辞令的な会話をしていたんですよ。その時点では僕も漠然と「女新撰組って面白そうだし、やってみたいなぁ」くらいの考えだけで、とくに具体化した構想があったわけじゃなかったんです。
――それが、何をきっかけに動き始めたんですか?
山崎プロデューサーと会った翌週に、さっそく彼から「この間の話、具体的にやりましょうよ」と話があって。そっからは矢のような催促がかかるようになり(笑)。「だったらまず」と、あえて一番ハードルの高そうな条件を出したんです。それが「キャラクターデザインは高橋留美子先生にお願いしたいね」と。当時は、「これはまず実現しないだろう」という、どちらかと言えばこの話をナシにさせようとした発言だったんですが…。
――そうしたら…
「広井さんですか?今度、高橋留美子先生と一緒にご飯を食べませんか?」という電話が、山崎プロデューサーからかかってきたわけなんです。それまで僕は一度も高橋留美子先生とは会ったことがなかったし、僕も留美子先生の大ファンだったこともあり、「ぜひぜひ」と。その会食の席で女新撰組の話をしたら、留美子先生までもが「私、新撰組のキャラクターを描いてみたい」とノッてきて。もぅこの時点では、「これはやらなくちゃ!」という使命感になっていました。
――そこから一気に、話は動き出したわけですね
まず留美子先生の展開が速かったですね。さっそくラフのキャラクターデザインが僕のところへ届き。中へ「なんでも注文を出してください。ぜひご一緒できるといいですね」という熱いお手紙が入ってまして。「そんな留美子先生にどう注文を出せばいいんだよ?!」という思いもありつつ(笑)。それから僕も、下敷きとなるプロットを書き始めていったんですけど。結果的に土台が完成するまでに、最初のパーティでの世間話から考えれば、約1年くらいの時は経過してましたね。
ゲーム版『機動新撰組 萌えよ剣』の誕生。そしてアニメ化へ…
――広井さん自身はどんな構想のもと、物語のプロットを作りあげていったんですか?
「まずは登場する3人を、近藤勇、土方歳三、沖田総司の娘たちにしよう。だとしたら設定も幕末ではなく、明治初期頃がちょうどいいんじゃないか」と思ったわけなんです。明治時代は面白そうだなと思っていましたしね。
――その理由とは??
明治時代って大きく日本が変わった時ですし、いろんな嘘をつきやすく、「オリジナルな設定を置けるな」と思ったわけなんです。多少荒っぽいことができるなと。制度や国が変わる時期というのは、いろんな諸問題が起きやすいんですね。それこそ新勢力の誕生と共に旧勢力との確執や、それは現代にもつながっていると思っていましたから、たとえば「“妖怪と共存してゆく社会”というのはどうだろう」となり。「この時代は妖怪を弾圧している頃であり、同時に、妖怪へ民主主義を教えようともしていく」。そんな想いがありました。
――妖怪と現代文明の共存とは、そのまま旧体制と新体制との共存や確執とも繋がってきますもんね。
昔から政治には何々派と何々派の戦いという“派閥間の抗争”があったわけじゃないですか。その意識は、そのまま“民族問題や宗教問題”へも置き換えることが出来ますし。すべての問題の根底は、他者を受け入れられるかということです。
――他者を受け入れる…ですか。
そう。ある程度制度が新しくなってくると、古い制度や因習に生きてきた人たちは弾圧されます。それこそ「こっちの新しい制度を入れろ」と言われ、そこへ逆らうと、今度は踏み絵をさせられる。結局は今の政治だって、そうじゃないですか。文明ってかならずそういう繰り返しを続けていくものなんです。そこを踏まえつつ、「新しいって何?」「文明開化って何だろう??」ということを描きたいと思っていました。そこへどっぷり浸かるとすごく難解な物語になってしまうんだけど、そこは留美子先生の持つラブコメ・テイストの突き抜けた開放性が全部救ってくれるという自信がありましたし。シリーズ構成や脚本を担当してる武上純希さんにも、「根本にある設定はこうなんだけど、でも難しくはしないでください」「そこさえしっかり抑えておけば、あとは高橋留美子先生の絵が動くとすべて救ってくれるはずですから」と説明し、当時はゲームとしての構成を考えてもらってたんです。
――この話は、最初からゲーム⇒テレビアニメという話があった上で進んでいたんですか?
最初は純粋にゲームだけの話でした。とはいえ、そこへ辿り着くまでも散々苦戦しながらの日々でしたからね。だから最初は、「ゲームだけで終わりかな。ちょっと勿体ないけど」と思ってやっていたんです。ところがゲームの発売後に、「今度はアニメ化を」という話が持ち上がり、「これは嬉しい話だ。まして高橋留美子先生のテイストは、絶対にアニメのほうが活きる。あのテイストを活かした作品にしていきたい」という想いが出てきたわけなんです。
――ゲームだと、どうしても描き上げるうえでいろんな制約や限界も出てしまいますもんね。
RPG風なゲームでしたからね、どうしてもバトルが多くなってしまったんですね。そこをもっと薄めて、さらにコミカルさを強調した、もっと笑える作品として展開していきたいと思いました。ゲームは、プレイヤーという主人公が絶対ですけど。アニメになると視点を変えていけるぶん、よりキャラクターを活かせるとも思えたわけなんですよね。
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