エキサイトアニメトップ > インタビュー > 実写版『忍たま乱太郎』リレーインタビュー第二段 監督 三池崇史氏

実写版『忍たま乱太郎』リレー・インタビュー第二弾に登場するのは、監督の三池崇史氏。三池監督の視点で語る実写版『忍たま乱太郎』とは……?
映画はいよいよ7月23日に公開。 そして、実写版『忍たま乱太郎』リレー・インタビューの最後を飾るのは、乱太郎を演じた加藤清史郎くん。そちらのインタビューも、期待して待っていてくださいね。

尼子先生からのオーダーは、たったひとつ。

実写版『忍たま乱太郎』
7月23日(土) 新宿バルト9ほか
全国ロードショー!

キャスト総勢80人以上!
加藤清史郎をはじめ豪華俳優陣と三池崇史監督が贈るエンターテインメント大作!

【あらすじ】
時は戦国時代。三流忍者の家に生まれた乱太郎は、エリート忍者になってほしいという両親の期待を胸に、忍術学園へ入学する。
そこには堺の豪商の息子、しんべヱや、戦で親を亡くしながらもたくましく生きるきり丸がいた。
忍術学園の生徒たちは忍者のたまご、「忍たま」と呼ばれ、ちょっと変わった先生や、かわいいくノ一たちと共に楽しい学園生活を送っていた。
しかし、乱太郎たち3人組は、授業も試験もドジばかり、いつもなぜかロクでもないことになってしまうのだった−−。

一人前には程遠いけど、仲間がいれば大丈夫!200%の元気と勇気と友情で、忍たまたちがスクリーンを縦横無尽に駆け巡る!
主人公の猪名寺乱太郎(いなでら・らんたろう)役に、大人気子役・加藤清史郎(9)。
大河ドラマ「天地人」を見て、すぐにプロデューサーが映画出演をオファーし、本作の制作が決定。
総勢80名のキャストをまとめる本作の監督は、大ヒット作『ヤッターマン』(09)や『十三人の刺客』(10)など幅広い作品を手がける三池崇史監督が務める。

【キャスト・スタッフ】
原作:尼子騒兵衛「落第忍者乱太郎」(朝日新聞出版刊)
アニメーション:「忍たま乱太郎」
監督:三池崇史 脚本:浦沢義雄
加藤清史郎
林遼威
木村風太
平幹二朗
寺島進
三浦貴大
山本耕史
古田新太

中村玉緒
柄本明
石橋蓮司
山本裕典
石垣佑磨
竹中直人
中村獅童(特別出演)
檀れい
谷原章介
鹿賀丈史
松方弘樹
配給:ワーナー・ブラザース映画

■関連リンク
実写版『忍たま乱太郎』

−−過去にも『ゼブラーマン』や『妖怪大戦争』『ヤッターマン』などを手がけているとはいえ、ほのぼのとした世界観へ終始した『忍たま乱太郎』の監督を手がけたことが嬉しい驚きでした。まずは、なぜ実写版『忍たま乱太郎』を手がけることになったのか?!そこから、教えてください。

自分も意外でした(笑)。何事にも、きっかけというのがあって。尼子(騒兵衛)さんが朝日小学生新聞へ『落第忍者乱太郎』の連載を始めてから二十数年が経ち、尼子さんが僕の手掛けたVシネマや映画の作品を観てくれていたことで、接点があったのが、ひとつ。そして今回、映画プロデューサーが『忍たま乱太郎』を映画化しようと考えたときに、加藤清史郎という存在が浮かんだことが、ひとつ。
『忍たま乱太郎』のような人気作品の場合、何度か、実写の話もあったんじゃないかと想像するんだけど、子供が主役の作品というのは、なかなかの冒険なんです。そんな中、時代の流れに加藤清史郎が現れ、彼だったらイケるんじゃないかとプロデューサーが判断したんだ。さらに自分自身も、いろんなスタイルの作品を撮っていたこともあり、プロデューサーが、自分に白羽の矢を立ててきた。尼子先生自身もきっと、この組み合わせならと納得してくれたんじゃないかな。そういう時代の流れの中で、この組み合わせが自然と生まれていった。だから、けっして特別なことではなく、ごくごく自然な流れの中で成り立っていったわけ。

−−もともと漫画という原作があっての作品なわけですが。三池監督自身、撮るに当たって、いろんな風にイメージを広げていったわけですよね。

最初に、尼子先生とお会いをして、いろんな話をしました。内容というのは、原作者と会うとだいたいのことは決まりますね。尼子先生はとても面白い人ですよ。

−−尼子先生といえば、エンターテイメントに徹していかれる方ですよね!

尼子先生の場合、そのエンターテイメントに対する思考というか、好みが明確なんですね。尼子先生からのオーダーは、たったひとつでしたよ。“感動の名作になんかしないでくれ”ということ。実際に話をしていても“いい映画にはしないでください。『忍たま乱太郎』がいい映画になったらおかしいんです。感動とかさせようとしなくても、お客さんらが勝手に「感動」しちゃうのならいいけど、こっち側が「感動させよう」という映画作りだけはしないでください”ということを明確におっしゃっていました。それに対しても「そういうの、割と得意です」と答えておきました(笑)。

−−尼子先生が言った言葉は「説得力がある」というか。「確かにそうだよな」と頷くことばかりです。

そこは自分も一緒で、作らされた映画みたいになるのは別に興味ないというか。『忍たま乱太郎』を映画化したら、映画ではこんな風になっちゃいましたみたいなもののほうが、撮っていて楽しいというか。そうでなきゃ、俺自身が「嫌だ」っていう。

唯一成長しているのは、尼子先生の作画力。

−−『忍たま乱太郎』と言えば、「一年は組」のみんなの無邪気なパワーや、みんなの気持ちがひとつになったときの想いに、楽しさや感動を覚えます。その辺の感情の表現を、三池監督は、どのように演出していったのでしょうか?!

本来の映画の在り方なら「努力する乱太郎の姿に、共感した仲間たちが、熱い友情から彼を助け。一人では出来なかったことが、みんなの力が合わさることで出来るようになり、乱太郎自身も成長していく」と演出するんだろうけど。でも原作では、努力をしてがんばるんだけど、それがカラ元気に終わったり、何かがあっても、翌日には、何時ものように変わらぬ風景のもとで授業が行われ、何時ものように一年は組の生徒たちが、そこにいる。
世の中の動き的には、成長することに価値があるというか、成長するからこそ人生なんだという考え方があるけど、尼子さんは、別に成長なんかしなくても、人生の楽しみ方はいろいろあるという想いを提示していく人。しかも、尼子さん自身が、それを実生活で示している人なんですよ。

−−実生活で示してる?

まず、いくら売れっ子になっても、尼子先生は、他の漫画は描かないし、同じようなシチュエーションで二十数年描き続けている。唯一成長しているのは、尼子先生の作画力。そこだけはグワーッと上がっている。だけど、ストーリーに関しては、一年は組のみんなの駄目っぷりを観て、ついつい笑ってしまうし、それが延々と続いている。しかも、劣等生をバカにして笑う漫画ではけっしてないのも、大きな特徴のひとつとしてあること。

−−確かに、何時、どの巻を読んでも、良い意味で「無邪気に楽しめ」ますからね。

そう。しかも、主人公が主人公の役割をしないんですよ。さすがに映画の場合、そこはクローズアップしていく必要性があって、していくんだけど、根本にあるのは、一年は組の生徒たちが居つつ、あとは脇役たちは、居ても居なくてもいい人たちの集団なんだけど。妙にみんなが個性的に存在感を発揮していく。その辺がまた、いいんですよね。

映画を作った者として、作品に対しての責任を持たなきゃいけないから……

−−漫画やアニメを映画化することでこだわった点、そこも教えてください。

自分の場合、原作者と無理に仲良くなったりはしないんですよ。そんなに長く語り合うこともない。尼子さんとも、最初に一度打ち合わせをしただけ。あとは、完成した作品を観ていただいて、そのうえで「面白かったです」と言ってもらえたので、あ〜、良かった。役割はまっとうしたなと思った。それくらいの関係なんです。
自分が原作を好きになり、その好きな人たちの仲間になることが、まずは大切。その作品のことを好きになって、その作品に対しての愛情が生まれてくると強いんですよ。愛するものに対して、何をやっても平気というか、それこそが愛じゃないか! と、勝手に考える。その変わり、作品に対しては強くリスペクトしなくちゃいけない。今回だって身内のスタッフたちと「あの学園長は痺れるぜ!」「くの一教室の山本先生は、どっちが本物なんだ?」と、バカみたいに、みんなで一生懸命に話し合いました。
よく「この作品のテーマは」と聞かれます。映画を作った者として、作品に対しての責任を持たなきゃいけないから、一応“らしい”ことは毎回答えるんだけど、正直、あまり意味やテーマというのはないんです。

−−えっ、そうなんですか?!

テーマというのは、そのテーマを持った上で作るから生まれるものではなくて、生まれた作品に対して、なぜ生まれたのかを探っていったときに見えてきたものが、その作品のテーマになっている。だから、狙って何かをやるのではなく、自分自身が無我夢中になって制作していった結果、そのプロセスの中へ自分でも予想だにしなかった何かが転写され、それがオリジナリティへと自然と結びついていく。
だから、アニメの原作を描くときにも、もともと個性の強い原作へ無理に反発するのではなく、その良さを借りながら、そこへ自分の良さをプラスしながら混ぜ合わせていく。そうすると、思ってもいなかったモノが生まれてくる。それが映画化の面白さなんですよ。

その一瞬の時期だけに観られる儚いもの。

−−『忍たま乱太郎』の主役は子供たち。あの子たちをまとめあげていくのは、けっこう大変じゃなかったですか?

子供たちにとっては割と居心地の良い現場にはなっていたようです。それは、スタッフや他の役者さんたちに対しても、そう。如何にその人が楽しめるかという居心地の良い空間を作ってあげることが、何よりも大切なことだからね。しかも、子供たちが主役なんだから、子供たちにとって居心地の良い場所にしなきゃ。……と言っても、彼らに媚びては駄目なんです。
今回の撮影のときも、衣装合わせから何から、何度も何度も子供たちとやり取りをしながら、その都度、適度なプレッシャーも与えながら制作をしてきました。まして、ひとりひとりが個性的なんだけど、さすがに、一人一人の面倒まではとてもみられないからね(笑)。

−−確かに、そうですよね。

成長期の子供たちが多かったから、人によっては、撮影が始まるときにはピッタリだった衣装が、撮影が終わる頃にはパツパツになっていたりするんですよ。そういうとき、新しい衣装を買うのもどうかと思うし、もう撮影も終盤だったから「お前、衣装のことを考えて背を伸ばせよ」と冗談を言い合ったりね(笑)。そんな感じで現場では過ごしていました。
あの子供たちが、本当に子供らしくいられる時期っていうのは限られているじゃないですか。実際に映画の中に映っているのは、今じゃなくて、昨年の加藤清史郎なんですよ。あいつの場合は、今会ってもさほど変わってないんだけど(笑)。それでも、身長は着実に伸びているからね。
無邪気な子供の可愛さというのは、その一瞬の時期だけに観られる儚いもの。そんな彼らの瞬間も、この映画には刻んでいるので、そこにも注目して観てほしいです。

TEXT:長澤智典

(C)2011 実写版「忍たま乱太郎」製作委員会

 
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