エキサイトアニメトップ > インタビュー > 片霧烈火「キネマ・イン・ザ・ホール」


そのキャラクターからは想像もつかないような歌唱力をもつ実力派アーティスト片霧烈火。彼女が、作曲家・弘田佳孝とのコラボレートのもと、アルバム『キネマ・イン・ザ・ホール』を作りあげた。
不思議な扉を開け入った奥へと広がっていたのは、人の心の狂気と憐れな末路を描いた物語ばかりを映し出す、不思議な映画館。。。
とても幻惑的な物語の数々を、ぜひじっくりと味わっていただきたい。

謎の少女が管理する謎な映画館『キネマ・イン・ザ・ホール』

−−まずは、アルバム制作へ至るまでの流れから教えてください。

まずティームエンタテインメントさんより「一緒にアルバムを作りましょう」というお話をいただきました。そのときに出ていたのが「作曲家の弘田佳孝さんとのコラボレート作品にしたい」ということと、「片霧烈火の魅力の一つである“暗い世界観”を思いきり詰め込んだアルバムにしましょう」という狙いだったんです。

−−暗い世界観というのが、またいいですね。

私的には得意な分野でしたから、「じゃあそれでいきましょう」ということで了解したんですね。その帰り道、テーマのことを考えながら歩いていたんですけど、フッと路地裏が目に入り、そこで人が這いつくばってようやく通れるくらいの小さな扉を発見したんです。結局その扉が何かまでは確かめなかったんですけど、その景色がとても気になり写真を撮ったんですね。その写真を再び家で眺めながら「どういう話にしようかな〜」と思ったときに出てきたのが、『時代は現代。主人公の男性がふと迷い込んでしまった都会の路地裏で見つけたのは、小さな扉。好奇心を起こして潜り抜けたその先にあったのは、謎の少女が管理する謎の映画館「キネマ・イン・ザ・ホール」だった。そこで主人公は、少女からいくつかのショート・ムービーを見せられることとなる。「穴」にまつわるそれらの話はどれも、人の持つ狂気と、その哀れな末路を描いたものだった』という物語の概要だったんです。

−−人の持つ狂気と哀れな末路…まさにそこを強くえぐり出した楽曲たちを、アルバムの中へは満載してますもんね。

この作品に収録した数々のお話へ“人がみずからの心に持っている悪意”という面をリアルに描きました。そういう部分って、誰もが隠したがるもの。そこをあえて浮き立たせゆく形で、いろんな物語の中へと綴っています。

“心へ闇”を抱えてる人ほど、怖いものはない…

−−収録した楽曲がまた多種多彩。ホント、いろんな表情を持った曲たちが映し出されてますからねぇ。

私自身、どこか一つのジャンルへくくって歌を表現したいわけじゃないし、弘田さん自身も多彩なスタイルの楽曲を作りあげている方なんです。お互いそこを認知していたからこそ、「自分たちの中にある多彩な引き出しを、どうやったら一つの作品の中へテーマ性を持って詰め込めるだろうか」ということを考え、そこから今回のような「オムニバス形式のお話がいいんじゃないか」という狙いが出てきたんです。

−−だから、多彩な音楽性でも、一つにまとまった世界観として響いてくるんですね。

そうなんです。大切なのは、「バラバラであっても大丈夫な“一つの括り”を持っていれば、結果的に統一感を持った作品になっていける」ということ。

−−その“怖さの演出”の仕方も巧みですよね。ただ怖いだけじゃない、心の内側をグサッとえぐるような表現だったり。シュールな中に狂気を感じたり…。

「怖い作品にしたから、怖い物語を作る」ではなく、「怖い思いを演出するために、何があったら余計怖くなるのかな?!」ということをずっと考えながら制作してました。誰だって怖いものばかりをずっと見聞きさせられていくと、次第に慣れてしまうものじゃないですか。でも、「怖かった」と思わせたところでちょっと一休みさせつつ、パッと場面展観をしながらまた別の視点で怖い物語を見せていくと、「もっと怖いっ!!」となるんですよ。

−−まさに、その通りだと思います!

物語には、“陰惨なシーン”を描いた内容もありますけど、このアルバムの中で一番観てもらいたいのが「メンタル的な怖さ」なんです。“心へ闇”を抱えてる人ほど、怖いものはない…そこを感じていただけたら嬉しいですね。

次々と狂気が襲いかかる、まるでジェットコースターのようなアルバム

−−物語も多彩ですけど、烈火さん自身の声の表情もホント多種多様ですよね。一人のシンガーが歌ってるとは思えないくらい、数多くの歌い手がこの中へ集まっているような感覚さえ覚えてしまいました。

もともと「声優さんになりたい」という意識も強かったことが要因なのかも知れませんけど、「片霧烈火が『キネマ・イン・ザ・ホール』へ出てくる人物たちを演じている」のではなく、「『キネマ・イン・ザ・ホール』という作品の中へ出てくる登場人物一人一人の性格を描き出すため、一番適したであろう声で表現していった」ということが要因なんだと思います。そうやって今回は、曲ごとの世界観に合わせ、自分の声の出し方もいろいろ変えながら制作していきましたからね。

−−そんな多彩なミラクル・ヴォーカルを魅力にしつつ。アルバムへ収録した楽曲自体、陰惨な世界観からシュールでポップなおとぎ話風、影を持った幻想浪漫な物語など、ホント“詞の世界観も曲調もカラフル”さを持っているじゃないですか。しかも聴いていると、まるでジェットコースターに乗ってるような感覚のもと、緩急多彩な表情が次々と心へ襲いかかっていく。だから、ほんと飲み込まれたよう感覚のもと聞き入ってしまえるんですよね。

ホント、表情は次々と変わっていきますよね。今回の流れを作るときに考えたのが、たとえば「『復讐の銃口』のよう狂気や陰惨さを描いた楽曲のあとに、『きねまむかしばなし「あなぼっこ」』のような童謡風な歌を入れる」というように、緩急効かせたギャップを次々作っていくことだったんです。映画自体がいろんな展開を持ちながら進んでいくものであるのと同様、このアルバムも“怖い世界”“綺麗な世界”“不思議な世界”“切ない世界”などが一個の流れを持って展開していきますし。おっしゃられたよう、てっぺんへ向かいカタカタカタと登っていくときに感じるジワジワとした恐怖から、一気に落ちていくときに感じるものすごい恐怖。そこからフッと安心感を覚え一息つけるんだけど、また再び恐怖がやってくる。そんなジェットコースターへ乗ってるときのような作品構成になったのは、間違いないですね。

みずからの心の中に巣くう悪意を直視しながら、えぐり出していく

−−これだけ、幅広い物語を描きながらも、しっかりアルバムとしての統一感を出している。そこへ“すごさ”を感じてしまいました。

それは、私も弘田さんも、最初に掲げたストーリーからぶれないよう、毎回気をつけてたからだと思うんです。
このアルバムを作るに当たり一番最初に出てきたのが、タイトルにもなっている『キネマ・イン・ザ・ホール』という楽曲。この楽曲こそが、アルバムの中では“一番の肝”になっているんです。つまり、「この物語から次の扉を開いたとき、あまりにもかけ離れた世界が出てこないようにしよう」ということを心がけながらお互いに楽曲を制作。つまり、この曲のあとに収録したいろんな物語のどれが続いても、確実に一つの流れを形成していけるものになっている。そういう「どの楽曲へ繋がってもいいという連動性」を作りあげられたことが、結果的に統一感を出せていったんだと思います。

−−歌詞の中にも、統一性がありますしね。

そう。表現の仕方としてはいろんな方向から描いてるとはいえ、どの楽曲にも“人の悪意がいかに怖いものか”ということを綴っています。
もちろん自分の心の中にも、当たり前のように“悪意は渦巻いている”。だけど人なら誰だって、“自分でも嫌になるような汚い性格”って持ってるはずなんです。普段は絶対に直視したくないその部分を直視していく。それこそが、このアルバムではとても大切になっていくテーマ性でしたからね。

狂気な世界へ没頭していく、片霧烈火の真骨頂発揮な1枚

−−このアルバム、気持ちを狂気の世界の渦へと巻き込んでいく作品ですよね。

このアルバムは、ホント救いがないように作りあげていますからね。そこからどう救いを求めるのかや、何を感じ取るかは聴いてくださった方にお任せしたいんです。単純に「怖いお話だったなぁ」で終わっても構わないし、「怖すぎて、もぅ聴けない」となってしまうのも、ありだと思うんですよ。それはそれで「成功だな」と思ってしまう。何故なら、それくらい「人が目を逸らしたくなるような作品を作れた」ということになりますからね。

−−だって、ジャケットからして強烈なインパクトを持ってますもん。

まるで、江戸川乱歩の世界観ですよね。ただ怖いだけじゃない、そこには妖しい雰囲気が漂っている。それは中を開けたブックレットへと描きあげた世界観も、同じなんです。中へ映し出したイラストや写真が伝えゆく、“サビた世界観”。きっとその視覚的な刺激と作品から流れてくる楽曲としての刺激を一緒に聴いてると、ものすごく“狂気な世界”へ没頭していけると思います。それくらい心へグサグサと突き刺さってゆくアルバムができたと思いますから。

−−まさにこれぞ、片霧烈火の真骨頂発揮の1枚…と言っても、間違いじゃないですよね。

久々に、本領発揮の1枚になりました。片霧烈火の持つダークサイドな面をとことんまで出し尽くした作品です。それくらい“好き嫌い”がハッキリしてしまうアルバムにもなりましたが(笑)

聴いた人の心へ、何かを残していく作品

−−烈火さんも、4月30日に渋谷O-EASTで開催になる「TEAM Entertainment Live Act 2007」への出演が決定しています。この世界観を、生で体感もできるのでしょうか?

イベント・ステージという短い時間の中とはいえ、『キネマ・イン・ザ・ホール』の世界観を中心に、みんなの期待を裏切らないようなステージにしていくつもりですし、その他にもショップさんでのイベントなどを予定しているので、なるべくあの世界観をみなさんへリアルに伝えていけるようがんばります。

−−期待しています。じゃあ最後に、あらためてひと言『キネマ・イン・ザ・ホール』に対しての想いを語ってください。

不安や恐怖、嫌な気持ちなどがいっぱい入ってるアルバムになったと思います。そうやって「怖かった」で終わらせていただいても構いませんけど、「聴いた人の心へ何かしら残っていける作品になった」実感を覚えているぶん、深く深く掘り下げながら聴いていただけたら嬉しいなと思います。実際、歌詞や楽曲の演奏面でもいろんなギミックを施してますし、そこを上手く汲み取りつつ、感じていただけたら幸いです。

TEXT:長澤智典

着うた先行配信

「キネマ・イン・ザ・ホール」発売に先がけ着うたを配信!
★着うた先行配信中!!
♪プロローグ
♪キネマ・イン・ザ・ホール
♪“南天の木”

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キャリアメニュー > 着うた > アニメ > 熱烈!アニソン魂

プレゼント情報

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リリース情報

●キネマ・イン・ザ・ホール

片霧烈火
2007.04.25 ON SALE
価格:\3,150(税込)
KDSD-00140

4月25日のリリースに先がけ「プロローグ」「キネマ・イン・ザ・ホール」「“南天の木”」の着うたを4月18日より先行配信。
01.プロローグ
02.キネマ・イン・ザ・ホール
03.“南天の木”
04.“復讐の銃口”
05.“きねまむかしばなし「あなぼっこ」”
06.“墓守ヶ丘”
07.“舞い降りた天使”
08.モノローグ
09.“悪意の穴を見た男”
10.オカエリハコチラ
11.エピローグ
12.終幕グランギニヨル

LIVE情報

-TEAM Entertainment Live Act 2007-
■日程:2007年4月30日(月・休)
■時間:開場16:00/開演17:00
■出演者:霜月はるか/片霧烈火/茶太/みとせのりこ/他
■会場:Shibuya O-EAST
■チケット:全自由 6,000円(税込)※ご入場時、別途ドリンク代が必要となります。
一般発売日: 3/24(土)
【お問合せ】ディスクガレージ 03-5436-9600(平日12:00-19:00)

片霧烈火プロフィール
TVアニメ「ひぐらしのなく頃に」ED曲、PS2ゲーム「アトリエ シリーズ」等、数々のボーカル曲を担当。自主制作盤「幻想廃人 - 或いは某K氏の手記」「空の軋みと歪める世界への無き、声」など。個性的で多彩な活動を行っている。
弘田佳孝プロフィール
作曲家。民族楽器やオリジナル楽器などを演奏し、アジア〜ヨーロッパの過去・未来が交わり合う、幻想的作品世界を造り出している。ゲーム「ファイナルファンタジー6、7、8」「パラサイト・イヴ」などのサウンドエフェクト制作を経て、「シャドウ ハーツ」シリーズなど多くのサウンドトラックを作曲している。
関連リンク

●片霧烈火オフィシャルサイト
●弘田佳孝オフィシャルサイト「studio midiplex」
●キネマ・イン・ザ・ホール特設ページ
●ティームエンタテインメント