『ブルーウォーター/Yes!I Will...』とのめぐりあい
−−アニメ「ふしぎの海のナディア」のOP/EDを彩った『ブルーウォーター/Yes!I Will…』を、今回“21st century ver.”という形で現代へ甦らせました。なぜそうしたのか…そのきっかけから、まずは教えてください。
昨年4月に、NHK-BSで放送された「アニメソング大全集」という番組がありまして、そのときに『ブルーウォーター』を歌わせていただきました。その時初めて、水木一郎さんとお会いしたんです。収録後水木さんから、「歌がパワフルでいいねぇ」というお褒めの言葉をいただき。さらに「アニソンや戦隊モノのライブを演ってるから、良かったら一度出てみない?」と声をかけてもらったことから、「もちろん、いつでも行くんで呼んでください!」とお話をしてたんです。偶然その現場に、今回の音源をプロデュースしてくださった方もいらして、そのときには、「『ブルーウォーター』は何年前くらいの楽曲なの?」「もぅ15〜16年くらい前になりますかねぇ」というお話をしてた程度だったんですけど。。。
そのときの水木さんとの出会いをきっかけに、私は今年1月に開催されたアニソンライブへ呼ばれ、再び『ブルーウォーター』をみなさんの前で歌ったんですけど、そこでふたたび「『ブルーウォーター』のセルフ・カバーを演ってみませんか?」というお話になり、こうして形になったんです。
−−森川さんも、実はそれ相応にアニメソングを歌ってらっしゃるんですもんね。
そうなんですよ。なにげに、「らんま1/2熱闘編」のエンディング歌『POSITIVE』を歌ったり。。。じつは、アニメのテーマソングになってたことを忘れてて、1月のイベントのときに3曲歌うということで調べたら、そこで判明したんです(笑)。さらにファンの方から、「『Be Yourself』を歌うのかと思ってました」と声をかけられたんですけど、それがOVA「ダーティペア」のテーマ曲になっていたことも、みなさんから教えていただいて気づいたりという有り様(笑)。
確かに当時は、今のようにアニメのためにテーマ曲を作るのではなく、アーティストとして歌っていたオリジナルの楽曲を、たまたまアニメにも起用したというパターンが多かったですからね。
21世紀へ甦った『ブルーウォーター』
−−『ブルーウォーター』に関しては、作品の思い出と重なり、この楽曲へも強い思い入れを抱いてる方が多いですよね。
ホントそうなんです。『ブルーウォーター』をきっかけに、私のことを知ってくださった方も多いんですね。お仕事面でも、この歌を聴いた方から、「舞台に出てみませんか?」とオファーを受け、新しい仕事面での広がりを得られたこともありましたし。今回続いた一連の流れだって、『ブルーウォーター』をきっかけに生まれた縁ですし。3月頭に私、スペインのグラナダで開催されるアニメ・フェスティバルへも参加するんですけど。それだって海外での「ふしぎの海のナディア」人気から発生したことなんです。ホント今更ながら、あらためて日本のアニメのすごさを実感している日々ですね。
セルフ・カバーに関してですが、最初は『ブルーウォーター』の持つイメージを壊してしまわないか不安もあったんですけど。とにかく「演ってみよう」と。。。そのときに一つだけお願いしたのが、「生音で演りたい」ということだったんです。
−−そこが、以前と今回の大きな違いですね。
私が歌った90年代当初の頃は、まさに打ち込み全盛の時代で、そういう楽曲へ仕上がってたんですけど、あえて今演るのならもっと温もりを覚えられる“生音を背景に唄いたかった”んです。
−−みごと、すごく新鮮味を持った『ブルーウォーター(21st century ver.)』へと甦りましたよね。
懸念していた心配ごとなど、軽々とクリアーしちゃいましたね。生音演奏の中へも…とくにストリングス系の音色には、演奏してくださる方々が届けてくれた“音の温もり”を強く感じましたし。そういう、手触り感が出てるのがすごく嬉しかったんです。
−−歌声にも、大人の女性だからこそ滲み出てくる素敵な艶っぽさが出てましたし。そこが、美しい旋律を放つ楽曲と交じり合い、心潤すとても素敵な感動を描きあげてくださってましたもんね。
一番気にしたのが、当時の歌が持っていた“キラキラ感”をどう表現していくか…だったんです。当時は私もまだ二十歳前後で、「怖いものなんて何もない」という意識のもと、とにかくパワー全開で歌ってたんですけど。あれから、17年の歳月を経過。「時代を超えて歌う意味って何だろう」と考えつつ、ブースへ入って歌ったんですが…。先にも言ったように、何も心配することなく、今の私らしい味として、この楽曲も、『Yes!I Will...』も昇華できた実感を覚えています。
『Yes!I Will...(21st century ver.) 』へ込めた想い
−−『Yes!I Will…(21st century ver.)』なんか、ほんと“今の森川美穂だからこそ出せる味”が凝縮されてますもんね。
『Yes!I Will…(21st century ver.)』は、ホント音をシンプルに作りあげましたからね。それこそ「みんなで一緒に唄い演奏した」ときのような、一つに溶け合った空気感が出ているぶん、当時のスタイルよりも更に良くなって完成したという手応えは、私自身も感じています。
−−ご自身で書いた歌詞を今あらためて唄い直したとき、どんな想いを感じました?
当時書いた歌詞をあらためて読んだとき、「若いなぁ」「まだまだ青いなぁ」とは思いましたけど(笑)。でも、すっごくストレートに想いを書いてるんですよね。きっと当時は、自分の中で伝えたい想いがはっきりしてたんだと思うんです。まして当時は、レコード会社を移籍し、その第1弾となる作品でしたから、私自身も「自分の夢が広がっていく」ことに対する期待感や、それに伴う不安などもいろいろ持っていたんです。その当時の素直な感情が、ここから伝わってくるというのが、逆に新鮮でしたね。
−−森川さん自身、昔からとてもポジティブな性格の方でしたよね。
今でもそこは変わってないですね。いまだ「やばい、こうなったらどうしよう」ってあまり考えないですし、あまりネガティブに物事を考えても仕方がないと言うか…。だから人には、「能天気」と思われたりもするんですけど。たとえいくら大変な事態に陥ったとしても、慌ててしまったら元も子もないと思うんですよ。だから私はいつも、「今はきっと修行の時期なんだ。修行にはかならず終わりがくるから、絶対に大丈夫」と思いながら演ってきたし、実際に乗り切ってきました。。。今なんかとくに、余計な気負いがなくなったぶん、そのときの自分を思いきり楽しめるようにもなってますからね。
新曲『忘れない…』へ抱いた不安と安心
−−そして3曲目には、「2007年 世界本の日 サン・ジョルディの日」のイメージソングにも起用中の新曲『忘れない…』を収録しました。
じつは一番不安だったのが、新曲だったんです。『ブルーウォーター』や『Yes!I Will…』は、数多くの人たちの前で歌ってきた楽曲ですから、今やいろんな人たちの想いも飲み込みながら成り立っている作品じゃないですか。でも『忘れない…』はまったくの新曲ということもあり、先に出来た2曲との関係性として綺麗に交われるのか…という不安が強かったんです。でもそこは、先の2曲をアレンジしてくださった西脇辰弥さんと、『忘れない…』を手がけてくださった星勝さんのアレンジ力のすばらしさの賜物ですよね。3曲とも同じ舞台上で溶け合うような、温かいアレンジになってましたから。
−−そこには森川さんの、大人の女性として描きあげゆく艶と温もりを持った歌声があったからこそ…という印象も、僕なんかは聴いてて思いましたけどね。
確かに今回は、17年前の楽曲のセルフカバーとはいえ、古い楽曲を再生させた感はまったくなくて、むしろ「これが今の私の新曲なんです」と言ってもおかしくない出来じゃないですか。実際に新曲とも綺麗に溶け合ってますし。その一つの要素として、私の歌声があるのなら、それも嬉しいことですけど。。。それでも今回は、制作へ加わってくださった方々の手腕や、楽曲に対する愛情心による成果が大きかったと思います。
息子と一緒にアニメ・特撮三昧な日々
−−最近では、いろんなアニメや特撮作品をチェックしてるそうですね。
うちの息子が大の戦隊物好きで、日曜なんか、朝から「獣拳戦隊ゲキレンジャー」「仮面ライダー電王」そしてその流れで「yes!プリキュア5」を続けざま観てるほど。そこに、私も巻き込まれてるんですけどね(笑)。うちは男の子なのに、「プリキュア」シリーズとか大好きなんですよ。
−−プリキュア・シリーズは男女問わず、さらに親世代にまで人気ですもんね。
ホント、見てると面白いんですよね。でも何にビックリって、女の子が変身して闘っちゃうこと。私世代の頃なんて、変身と言っても「ひみつのアッコちゃん」や「魔女っ子メグちゃん」など、魔法少女に変わるくらいだったわけじゃないですか。なのに、今は闘ってしまうんですよね。それがまた面白くって。。。しかも、テーマ曲がホントいい歌多いから、つい息子と一緒にカラオケで歌ってしまったり(笑)。カラオケで最近のアニソンを唄いながら、「あっ、この作家さんとお仕事したなぁ」とか、不思議な、一方的な再会にビックリしたり(笑)。
−−森川さんも、機会があったらまたアニメ業界とも…。
お話をいただけるのであれば、積極的に参加させていただきたいです。もちろん今後も、オリジナル楽曲の制作やライブ活動は続けていきますけど。今回の『ブルーウォーター』のセルフカバーを通したご縁のよう、いろんな出会いの中から、さまざまな楽曲を歌う機会を得られるのであれば、積極的にやっていきたいと思ってます。もし興味を持った制作の方々、アニソン唄いますので、声をかけてください(笑)
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