angela最新作のテーマは、「グランドキャバレー〜歌舞伎町編〜」

−−何故に「ライオン丸G」のトリビュート・アルバムを製作したのか…。そこからまずは、教えていただけますか?

KATSU:これまでにangelaは3枚のアルバムを発売。数えるとこれが4枚目になるんですけど、フルアルバムに関しては、いつものangela styleの楽曲を収録した作品にしたいという思いがあったのと、自分たちの中にある、“普段とは表情の違う音楽性を表出してゆく手段”として、今回の「ライオン丸G」のトリビュート盤という形がピッタリきたことから、あえて企画性を持ったミニアルバムを製作しました。僕なりに楽曲面で掲げたテーマが、“21世紀型グランドキャバレーな音楽”でした。

−−昭和ムード歌謡の持つ妖しげ香りって、まさにグランドキャバレーという言葉にピッタリですもんね。でも何故に“グランドキャバレー”だったんですか?

KATSU:「ライオン丸G」の舞台となっているのが西暦2011年の“ネオ歌舞伎町”。あまり遠くない未来の物語じゃないですか。そこでパッと思い浮かんだのが、「今の新宿歌舞伎町に似合う音楽ってなんだろう…」と言うこと。確かにトランスなどの音楽性も、今の歌舞伎町には似合う音楽なんでしょうけど、僕自身はどうしても新宿にかつて無数に点在してたという“グランドキャバレー”で奏でられていた“妖しいエロス性”…と思ったので、そのイメージで世界観を作りあげていきました。
atsuko:2人とも岡山県出身なので、田舎から見ていた新宿の音のイメージって、まさにこのアルバムへ収録したような昭和ムード歌謡&ジャズな世界だったんですね。その印象をもとに作りあげたら、上手く統一感を持った作品になったと思います。

地方出身者が夢見ていた新宿の持つ、表と裏の顔。。。

−−地方出身者にとってみれば、新宿って憧れの地であり、一旗あげゆく場所でもありますからね。

atsuko:東京へ出てきて「ドコで働きたい」と最初に憧れるかと言うと、新宿なんですよね。私も上京後初めて働いた場所が新宿だったし、angela自体、何年間も新宿でストリートライブを演り続けてきた。そういう気持ちを導き出すように新宿は、「一旗あげてやる」という気持ちを抱かせたり、そういう人たちが集まってくる場所という印象も、私たちは抱いてるんです。
KATSU:ホントそうだよね。じつはグランドキャバレーというイメージも、上京して初めてやった音響アルバイトで、一度だけ行った事があるんですけど、今でも現存している新宿を代表するグランドキャバレー“クラブハイツ”というお店なんです。そこで観た世界がムード歌謡だったんですね。ステージ上では凄腕のミュージシャンたちが演奏してるけど、お客さんは誰もステージなど観ても、聴いてもいない。もちろん演奏している人たちも、仕事として演奏してるんですよ。休憩時間に舞台裏のテラス(?)へ出ると、歌舞伎町がダーッと見渡せる通路が広がっている。でも見える景色は、すごくゴミゴミとしていた風景。憧れとして抱いてた新宿が持っている派手やかな景色の裏には、ゴミゴミとした暗い影がある…。それを知ったことが、すごいカルチャーショックだったんです。だからこそ新宿を彩る音楽と言うと、あのときの風景や流れていた音楽を思い出してしまうんですよね。
atsuko:歌詞でも、そんな新宿で活きてる人たちの姿を描きたいと思い、うらぶれた女性の生き様を、エロスを感じさせゆく表現も交えながら描写。こういう“恋愛が持つ内面的にどろどろとした姿”は、これまでのangelaにはなかった世界観だけに、今回のコンセプトをきっかけに挑戦してみました。

−−せっかくだから、収録した楽曲をそれぞれ紹介してもらいましょうか。まずは、冒頭を飾る『接触』からですね。

『接触』

KATSU:新宿と言う場所には「人と人とのコミュニケーションが希薄」なイメージあるんですけど、実際は「人と人とがコミュニケーションを交わす瞬間」がすごく多い場なんです。そんな“新宿でコミュニケーションしてゆく”イメージと、「ライオン丸G」の世界観とをリンクした形で、インスト・ナンバーを制作。これまでangelaではインスト・ナンバーを演ってなかった分、そこも楽しんで制作しました。レコーディングでは、決め事的なメロディや展開はあるとはいえ、セッション的な演奏で表現しました。まさにこの楽曲は、ミュージシャンどうしの接触(セッション)で出来上がった楽曲です。
atsuko:ハハハハハッ……と、笑っておこう(笑)最初はインスト曲で制作ということから、私の歌声は一切入らない予定だったんですけど、KATSUに「何か声を入れて」と言われ、「接触…ショック…SHOCK!!」ということで、言葉を連想。とある叫び声も入ってます(笑)

『人生遊戯(ゲーム)』

KATSU:“「ライオン丸G」の楽曲をangelaに…”というお話をいただいた一番最初の頃って、まだシナリオも上がってない状態。そのときにあった情報が、「ネオ歌舞伎町を舞台にした物語」ということだった…。そのときに僕の頭の中に思い浮かんだのが、グランドキャバレーで流れてるようなムード歌謡やビッグバンド風のジャズだったんです。そのイメージから、ドンドコ始まるドラムビートやブラス・セクションの艶めいた雰囲気が浮かびあがってきたように、最初にこの作品のコンセプト的な楽曲を決定づけたのが、この『人生遊戯(ゲーム)』でした。冒頭へ入れた「ガォ〜!」という叫びは、実はデモの段階で「ライオン丸G」へひっかけた遊び入れ、最終的にはカットしようと思ってたんです。ところが予想外に「格好いいね、そこ」と気に入られちゃって(汗)結局採用してしまいました(笑)
atsuko:「ライオン丸G」って、闘いのお話ですよね。私もまず、闘い…勝負という言葉たちが頭の中へ浮かんできたんです。そこからなぜか、ボードゲームの「人生ゲーム」へ繋がっていったんですよね。あのゲームって、ルーレットを回しながら、進むごとに結婚をして子供が生まれたり、家を買ったり、家が全焼したりなど、ゲーム上とはいえ波瀾万丈な人生を送っていくじゃないですか。そこから、「どんな人生ゲームになろうと、やっぱり最後は勝ちたい」という、新宿で生きる女性ならではの気持ちを表現したくて、この詞を書きました。

『僕の両手』

KATSU:アルバムは全体的に“夜”な雰囲気でまとめようと思いつつ、やっぱり新宿だって昼の顔もあるわけじゃないですか。そこから“新宿の昼”をイメージし、パーカッションを印象深く駆使した乾いた感じの楽曲として、仕上げていきました。
atsuko:KATSUも言ったように、新宿といってもいろんな風景がありますよね。歌舞伎町のように怪しげな雰囲気の一角もあれば、OLたちが集うような場所もある。たまに西新宿の高層ビル街へと足を運び、上のほうから街並みを見下ろしたりするんですけど。。。とある日の夕方に独り高層ビルへ登ったとき、本当に夕陽が綺麗で、「新宿は広いな〜」と感じつつ、豆粒くらいの姿で歩いてく人たちの姿を見下ろしながら、「人間なんてちっぽけな存在かも」というもの思いにふけっていたんです。「きっと私のちっぽけな悩みも、小さな人込みのようちっぽけなものかも知れない」…そう思った心境を、この歌には綴っています。

『鳥』

KATSU:これは、「ライオン丸G」のエンディングテーマとして流れている楽曲です。最初に「ライオン丸G」の世界観をイメージしたときに浮かんできたのがグランドキャバレーのイメージであり、荒廃した都市の姿だったんです。しかも荒廃した新宿=「北斗の拳」のような世界観が頭の中へ描かれたこともあり、「荒廃した中でも望みを抱きゆくバラード系の楽曲」を作ろうという気持ちから、「北斗の拳」の世界のような頽廃した風景を思い描きながら、この『鳥』が完成しました。
atsuko:一口に鳥と言っても、いろんな環境へ身を置いてるわけじゃないですか。新宿の街を徘徊するカラスのように自分たちで自由奔放に飛び回れるけど、餌は自力で見つけてかなきゃ生きていけない鳥。かと思えば、部屋の中で飼われている籠の中の鳥たちは、そのさえずり声の綺麗さや見た目の美しさから籠の中へ飼われ、食事も与えてもらえてなに不自由なく暮らしているけど、でも籠の外を飛び回る自由はない。「同じ鳥でも与えられた環境によって随分違うな〜」と感じた気持ちを、一番と二番の歌詞へと表現。「どっちが幸せなんだろう」ということを綴りました。。。

−−その気持ちって。。。

atsuko:じつは、私たち(人間)にも置き換えられる言葉なんですよね。
KATSU:ライオン丸はネオ歌舞伎町の街を自由奔放にふらつきながら、好きなことをやっている。かたやライバルのタイガージョーは、組織の中で動いていくことに自分を見いだしてゆく。「果たしてどちらが幸せなんだろう」…ってね。
atsuko:「フリーランスな保障のない生き方がいいのか、保障のあるサラリーマンのような生活が良いのか…そういう様々なとらえ方ができるけど、どんな人でも同じよう1日は終わっていくんだな」ということを、ここには綴っています。

『独り』

atsuko:「この人と付き合ってたら、私はダメになってしまう」。そうわかっていながらも、なぜかダメ男ばかりを愛してしまう女性って、じつは多いじゃないですか。しかもデキる女性に限って、「この人は私が居てあげないとダメなのよ」「私なら、この人を変えてあげられる」と思ってしまうし。たとえ遊ばれてるとわかっていながらも、つい身を預けてしまう。そんな女性の気持ちを、『独り』には書いてみました。
KATSU:この楽曲は『人生遊戯』に近い雰囲気なんですけど、歌舞伎町の中にあるエロチシズムを音楽という形にしたくて書いた作品です。個人的には、すごくお気に入りの楽曲として仕上がりました。

『月の無い夜』

KATSU:歌舞伎町って眠らない街。だから夜中でも月が見えない。と同時に、たとえ雨が降っても、あの賑わいが消えることはない。そんな「無理に賑わい頑張ってるような風景と雨の歌舞伎町が、僕には重なって見えてきた」ことから、この楽曲を制作。レインスティックなどを駆使し、雨の雰囲気を作り上げた楽曲にしたんですけど…でも歌詞では、あまりそことは関係のない世界として描かれています(笑)
atsuko:私も「新宿は眠らない街だな」と思うんですよ。でも歌舞伎町に寄り添う形で存在する花園神社って、お祭り以外のときは、普段からシーンとしてる場所じゃないですか。あんなにも喧騒な新宿なのに、花園神社へ足を運ぶだけで世界が変化してゆく。私はこの歌詞の主人公へ、場末のスナックのママを設定。いつもハイヒールを履きながら頑張ってるんだけど、それでもいろんな抱え込むような悩みも尽きることはない。だけど、この静かな空間に足を運ぶだけで、いろんな悩み事も忘れ、心が落ち着いていく…。そんな情景を描きたくて、ちょっと哀愁漂う女性を主人公に歌詞を書いてみました。

『移り気』

KATSU:「いき過ぎたムード歌謡って何だろう」と思ったときに浮かんだのが、“ラテンな要素を持ったビッグバンドで演奏するムード歌謡”だったんです。ちょうど制作やレコーディングを行ったのが夏ということもあり、自然と気分も情熱的になっていたこともあったのか、タンゴ調の楽曲となって完成しました。

−−まさに、昭和の新宿の夜が持っていたイメージですよね。

KATSU:アメリカで言う“古き良き時代”って、50年代じゃないですか。じゃあ日本で言う“古き良き時代は…”と思ったら、60年代後半から80年代にかかるかどうか…くらいの時代かなと思ったんです。まさに、昭和の時代。そこを描いてみました。
atsuko:女性って、じつは誰もが女優でもあるんじゃないか…と思ったんです。それこそ歌舞伎町の中で生きてく女性の場合、楽しくお酒にまみれて生きてくことも一つの人生…と言うか。「あなたのために生きていける」と嘘を付きながらも、喧騒な街の中、秘めた本音の情熱を胸に生きていく…。そんな女性像を描いてみました。

これは“裏angela”としての表現作

−−この『新宿狂詩曲(ラプソディー)』というミニアルバムへは、まさに“新宿”…中でも“歌舞伎町”で生きる人たちの、“表と裏/建前と本音など2つの顔”を描きあげた楽曲が満載されてますよね。

KATSU:きっとここへ収録した楽曲たちって、いろんな経験を重ねた今だからこそ表現できた世界観かな…と言うのは、強く感じてます。きっとこういう題材を、二十歳そこそこで書きながら“人生は…”と歌っても、絶対に説得力は生まれなかったと思うんですよ。
確かにこの作品をangela的な視点から捉えたら、あくまでも“裏angela”的な1枚になってると思います。だけど、そういう表現の間口を提示できたことが、本当に良かったし。angelaの中にあるいろんな可能性の扉の一つを確実に開けた実感も覚えています。
atsuko:そうだね。私たち自身すごくいい刺激になったからね。

リリース情報

『新宿狂詩曲(ラプソディー)』angela

NOW ON SALE
価格:\2,199(税込)
KICS-1285

1.接触
2.人生遊戯
3.僕の両手
4.鳥
5.独り
6.月の無い夜
7.移り気

関連リンク

angela公式ホームページ