 TEXT:長澤智典
夏に咲いた11曲の花
――ついに1stアルバム『In Bloom』が完成。満開の花が咲きました?
制作中のときは、茎の状態でヘニョ〜としなれてみたり、蕾になったり、頑張ってピ〜ンと生えたりしながら、なんとか無事11曲の花を咲かせることが出来ました。
――アルバム収録曲は、涼子さんみずから選曲したそうですね。
「先にプロデューサーの方が 100曲近くのデモ音源の中から30曲ほどセレクトしてくれて、その曲たちを私が聴きながら、『こういうメロディや音色の歌が好き』『この曲調は歌ってみたい』など、好きになった楽曲や気になった作品をチェックしていったんです。そこからさらに、再びプロデューサーが新曲を9曲選び、先にシングル発売した『太陽のかけら』『ラヴDiamond』を加えた、全11曲のラインナップとして決定したんですけど。。。そこで一つわかったのが、『好きな楽曲と歌える楽曲は違うんだな』ということでした。
――それって、どういうこと?
「私が好んで選ぶ楽曲って、どこか“切なさ”や“ひと癖”を持った曲調なんですね。でもそういう作品って、いざ歌おうとすると表現が難しすぎて歌えない。それでも、幾つか切ない楽曲は入れてるんですけど(笑)。改めて、『好きな曲と歌える楽曲ということを考えて選ばなきゃ』と思ってしまいました。
元リンドバーグのメンバー3 人が、それぞれ楽曲を提供
――シングル版『太陽のかけら』のときは、元リンドバーグのメンバーである平川達也さん,川添智久さん,小柳"Cherry"さんが楽曲提供してました。じつはアルバムでも、みなさん再び楽曲提供してくださってるそうですね。
元リンドバーグのみなさんが提供してくださった新曲が、全部で6曲。『太陽のかけら』と『ラヴDiamond』も加えると、全部で8曲になります。しかも川添さんに至っては、その中の3曲のレコーディングのとき、スタジオでディレクションまでしてくださったんです。それがホント嬉しかった…。
――3人が提供した楽曲は、いづれもロックな躍動性を持った楽曲ですよね。
とても、バンド調の歌が多いですね。私、これまでバンド系の楽曲をそれほど歌ったことがなかったので、けっこう挑戦ではあったんですけど。結果的には、それもすごく刺激になったと言うか。これはミニ・アルバム『R』を出した頃から言ってるんですけど、『まだまだ今は自分へ似合う楽曲を探してる、自分追求の道の途中』って気がしてるんです。だからアルバムを聴いてくださった方々が、「似合う」とか「新鮮」など、どんな反響を返してくれるのかがすごく楽しみなんです。
――個人的には、“『太陽のかけら』で魅せた明るく弾け飛んだビートポップな姿が、シンガー白石涼子らしさ”かなと、勝手に捉えてるけどね。
おっしゃられたように、『太陽のかけら』を聴いたみなさんは、私に“太陽”や“夏”という言葉が似合う“元気で明るいイメージ”を持ってくださってるみたいだし。その印象も踏まえつつ、プロデューサーの方の『うりょっちは夏が似合うよね。だからアルバムも夏を意識した作品にしようと思うんだ』という想いから、今回のアルバムの制作を進めていった面も、実はあったみたいです。
――もしや、タイトルの『In Bloom』も…。
太陽や夏の似合うイメージから、”花が咲く、真っ盛り”という意味を持つ『In Bloom』になりました。
夏と言えば、白石涼子?!
――涼子さん自身は、周りが捉えてる”夏が似合う印象”に対して、どのような受け止め方をしてますか?
今まで私が歌ってきた楽曲を総合して考えたときに、「ネギま!」で歌った『ときめきココナッツ』、 DROPSとして歌った『パカップル』ともに、夏の元気な感じが出た歌になってましたし。普段私の映ってる写真自体が、口を開けて笑ってる笑顔の表情ばかりじゃないですか。私自身は、自然な振る舞いとしてそうなっちゃうんですけど。『その笑顔が健康的な感じ=夏っぽい』と言われ、『納得だな』とは思いました。ただプロデューサーの方に、『いくら肌を露出してても、全然いやらしくない』と言われたのは、ちょっとショックでしたけど(笑)。その健康的な少女然とした印象も、『やっぱり夏っぽい印象を与えてる要因なんだろうな〜』とは、受け止めてます。
――アルバムには、夏を感じさせる物語や風景を描いた歌が満載。ただし、どの楽曲も“明るく弾けた”や“カラッと爽快に”ではなく。しっとり聴かせたりと、夕暮れや夜が似合う作品も、中へは幾つか入ってますよね。
ホントここには、“爽やかな夏”から“バカンスな夏”、“キュートでトロピカルな夏”、“切ない夏”、“野性的な夏”など、いろんな夏が詰め込まれてます。
――野性的な夏って、すごく気になるんだけど。
『 Traveller』という楽曲が、その野性的と言うか。この歌では、自分のことを“僕”と呼んでるんですよ。その印象も手伝ってか、爽やかや明るい夏とは違う、野性的で力強い印象を、私は覚えてしまうんですよね。
引き籠もりの歌が、一番素に近い歌?!?!
――確かに歌詞には、いろんな女の子の心模様や物語が綴られています。涼子さん自身は、すべての歌詞へ共感を覚えました?
1曲ずつ、夏を舞台にしたいろんな女の子が登場するぶん、“すっごい共感できる歌”もあれば、“うわっ、めっちゃあたしやん”と同調する切ない歌、“これは全然私とは違うなぁ”と思いつつも楽しく歌った曲など、そこはいろいろでした。
――アルバムの中で、一番素の涼子さんに近い歌ってどれですか?
ディレクターいわく、『これは引き籠もりな暗い女の子の歌だから』ということなんです。でも『その気持ちわかるなぁ』と思ったし…と言っても、私は引き籠もりじゃないんですけど(笑)。あ、でも家大好きです(笑)。その切ない気持ちへ強く共感したからこそ、歌うときもすごくかすれぎみな、息も絶え絶えな感じの歌い方で歌ったんです。同じくかすれた歌声という面では、『藍いまぼろし』も切ない楽曲ということもあり、けっこう共感を覚えながら歌ってました。
――一番自分と遠い歌は、どれなんですか?
遠いと言うよりも、私普段からサバサバとした性格なこともあり、『こういう女の子らしさって、すごい可愛いなぁ』と思えたのが『素直…したい』。彼女は、逢いたい気持ちが昂って、ネイルが上手く塗れなかったり、地下鉄の移動中に窓へ映る姿を鏡に、何度も前髪直しちゃったり。わざと待ち合わせ時間に遅れちゃおうかなと思ったりなど、すっごく恋にいじらしい女の子なんです。私、前髪ないし(笑)、普通に遅れてしまう性格だし(笑)、私にはない部分だからこそ、歌ってて新鮮で、一番“青春”って感じがしました。
夏と言えば…
――他にも、印象深い歌も多そうですよね。
『Vanilla〜バニラ〜』など、まさにトロピカルな歌!! 海・カラフルな花・水着・青い空・フルーツなどなど、そんなトロピカルなイメージがすっごい見えてくる、まさに“夏休み”って歌なんです。『Vanilla〜バニラ〜』こそ、夏や太陽という明るいイメージがピッタリの楽曲です。同時にさっきも言ったよう、夕暮れや夜,月という印象が深く繋がってゆく神秘的な楽曲『ゆらゆらと満月』や、『月夜に雨は降りますか』『夏の夕暮れと涙の誓い』『藍いまぼろし』なども、晴れやかさとは対をなす切なく夜の表情ということで、大好きな楽曲たちでもありますね。
――ちなみに涼子さん自身、夏という言葉を聴いて、まず最初に何を思い浮かべますか?
プール……かなぁ(笑)。私、奈良県という海のないところ出身なので、あまり海へ行ったことないんです。水着だって高校1年生のときに買って以来、久しく新しいのは買ってないし。東京へ来てからは、プールだって一度も行ったことないんですけど(笑)。小さい頃によくプールへ入ってたから、やっぱりまずはその言葉が浮かんじゃうのかなぁ(笑)。あとは“夏休み”かな。私自身、夏休みは関係のない生活ですけど(笑)。それでも、夏休みという言葉を聴くたびに、なんか気持ちが弾んでしまいますからね。
一緒に汗かいてスッキリしようっ!!
――そんな涼子さんにとっての夏と言えば、購入者のみを対象とした(CDへ応募券が入ってます)ライブ・イベイトが、8月に東名阪で開催されます。
東名阪3ヶ所って言うから、も〜ビックリですよぉ。今回はすべてライブハウスを舞台に開催しますし、そこではアルバムへ収録した11曲すべてを歌うつもりです。ノリノリな歌ばかりじゃなく、切ない表情の曲も入ってるので、どういう流れにするかはこれから考えていくんですけど。『暑い夏に一緒に汗をかいてスッキリしたい』内容にしていこうと思ってるので、ぜひイベント・ライブでは、みんなで騒ぎたいですね。
――アルバムには、『太陽のかけら』のPVやメイキング映像を収録した DVDも付いてきますよね。
『太陽のかけら』を発売した頃から、みなさんに『PVも付けてください』と散々言われたので(笑)、ようやく実現させました。しかもオフショットには、私の変な顔もいっぱい入ってますから(笑)。
―― DVDもぜひ見どころですね。そんな1stアルバム『In Bloom』は、今の白石さんにとってどんな意味を持った作品になりましたか?
“白石涼子らしさを知ってもらえるきっかけの1枚”になったと思います。聴いてくれるみなさんなりの夏の風景にも当てはまる楽曲が、どれかしらあると思うので、ぜひみなさんの心へ、たとえ1曲でも良いからスーッと入っていけたら嬉しいです。そんな楽曲たちを探すためにも、聴いてください。
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