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インタビュー

音無小夜という生きざま…彼女を取り巻く相関恋関係。

『BLOOD+』でヒロイン“音無小夜”の声を担当しているのが、現在18歳の喜多村英梨ちゃん。小夜とは年齢も近いこともあり共感を抱きながら……なんて、甘い話は通用しない。
みずからの運命に苦悩/葛藤しつつも、あるべき姿へと覚醒してゆく音無小夜。彼女の心情を喜多村英梨がどのように受け止め演じているのか…。今後も続くであろう彼女の声の、最初の扉を開いてみよう。

TEXT:長澤智典

えっ、ガヤシーンにも“こんなこだわり”がっ!

――じつは今日の現場を見てて一つ気になったことがあったんです。それがガヤの収録シーンでのこと。中へ子供たちがワイワイ騒ぎながら食器を片づける場面がありましたよね。その収録前に喜多村さんは、監督さんへ「食卓にはどんな料理が乗ってるんですか?」と聴いてました。たとえガヤとは言え、そこまでこだわりを持って演じてるという事実へ、素直に関心してしまいました。

いえ、そんな大げさなものじゃなくって。私いつも、ガヤを録るシーンでは何をしゃべって良いのかわからなくなるんです。しかも大勢の人が一斉にしゃべるときは、「他の人と話題がかぶっちゃってもいけないな〜」と思い、聴いたと言うのが一つと。
私の場合、いつも収録時に門脇舞さんと隣同士で座ってることもあり、ガヤのときもやっぱり隣同士でしゃべるんですね。そのガヤ収録時に、最近2人して凝ってるのが、キャラを設定したうえでの絡みなんです。

――それは、どんなキャラ設定なんですか?

私が“デブキャラ”で、舞ちゃんが「しょうがないなぁ、こいつ」と突っ込んでくる“少年キャラ”なんですけど。まさに食事のシーンだったら、思いきり口に頬張りながら、「おい、口に何かついてるぞ」とか突っ込みあえるじゃないですか。だから事前に「これは、どんな食事が並んでるんですか?」って聴いたんです。

――そんな遊び心も、現場では発揮してるんだね。

『BLOOD+』はとても真剣な物語が芯となっているぶん、ガヤや遊べる場面では、みなさん思いきり遊んでます。ましてガヤは、楽しんで演ったほうが雰囲気も出ますしね。

定めへ左右される女子高生、音無小夜…その心の葛藤と命運

――ヒロイン役という重圧、英梨ちゃんはどのように受け止め、現場へ向かってます?

回数を重ねるごとにアフレコへ慣れてきたとはいえ、やはり“主人公で看板娘”という重圧に、いつも不安や緊張感を覚えてます。もちろん“小夜の気持ちをどこまで理解し、人に伝えられるのか”というのも、しっかり気持ちの中で整理しつつ、毎回マイクへも向かってるんですけど…。

――普通の女子高生として登場した小夜が、突然大きな運命の力に振り回され、望まずとも覚醒を繰り返してゆく。悩み葛藤しながらも、みずからの命運を徐々に受けいれてゆく小夜。彼女の微妙な気持ちの変化を演じるって、とても難しくない?

第1話では、沖縄に住む普通の女子高生として明るく振る舞うシーンばかりだったのに、翼手やハジなど、いろんな人たちの登場により、みずからの運命が転がり始めてゆく…。とくに沖縄からベトナムへと舞台を移して以降は、小夜も少しずつ自分の運命と正面から向き合っていくようになるんです。でも同時に彼女の中には、普通の女子高生として抱く、怖かったり後ろめたい気持ちだってある。その葛藤してゆく姿を、小夜の場合は演じる機会が多いんですけど。その細かいニュアンスを表現するのが大変…と言うか。
小夜が覚醒し暴走しながら闘うシーンにしても、ただ「格好いい」じゃ駄目なんです。「ヤ〜ッ!」と翼手を斬り付けるシーンでも、彼女の中には“ためらい”があったり。まだ完璧に覚醒しきってないからこその、力不足な下手くそさも出てたりする。闘うシーン一つを取ってもそんな感じで、いろんな場面へ細かい表現のニュアンスを求められるので、すっごく大変です。

――確かに、演じる面での微妙なニュアンス付けは大変だろうけど。でも小夜がどんどん覚醒し進化し続けてゆく様には、かなりの見応えも感じていますが…。

小夜の中へ最初に大きな気持ちの変動が現れたのは、第4話だったと思うんですけど。あのときは(第3話で)父親変わりのジョージからみずからの命運を聴き、“自分は普通の子じゃない”という現実を、戸惑いながらも受け止め。(第4話を通し)自分の進むべき道を示してくれたハジに対し、「じゃあ私はどうすればいいの?」と問いかけてゆく。そこで初めて小夜は、自分の運命を受けいれたうえでの第一歩を踏み出したわけですけど。その葛藤してゆく姿を演じるのは、正直難しかったです。

――監督さんとは、演じていくうえでどんな話をしましたか?

『BLOOD+』の音無小夜役が決まり、監督からいろいろな設定やキャラクターのお話を伺っているときに、私監督に向かって「小夜って“赤い盾”にせかされたり、周りの人たちからも“闘え闘え”とせっつかれたりと大変なんですね。でも私、格好よく小夜を演じるよう頑張ります」と言ったんです。そうしたら監督に、「小夜は、すぐに“私が世界を救う”なんて気持ちにはならない。だって、それまで普通に女子高生だった子が、いきなり“闘え”なんて言われても出来ないでしょ」と言われたんです。そこで小夜を演じる大切さへ気づいたと言うか。。。
第3話の中へデヴィッドが出てきたときも、小夜は「闘えなんて言われても出来ないし、そんな運命を素直に受けいれることだって出来ない」と悩み葛藤し、落ち込んでいくシーンがあったじゃないですか。まさにあのシーンこそ、小夜という女子高生の気持ちそのものだと思うんです。

謎が謎を呼ぶ設定…観るたびに深まる謎と興味

――その微妙な心の変貌ぶりを演じるうえで、一番大切なことって何?

この作品は、覚醒したときの小夜の恐ろしさ。それは、ある意味“強さ”や“格好良さ”だったりもするんですけど。その非日常的な姿と、一人の女子高生という日常の中で生活する小夜との、格差。それこそガラッと変えてしまう表情から、微妙なニュアンスを求めゆく姿まで、その細かい落差をいかに出すかだと思います。

――と同時に、演じていくうえでのやり甲斐も強いんじゃない?

そうですね。この作品を1年間演り終えたあとには、絶対今の自分以上に成長してる喜多村英梨がいると思うし。この『BLOOD+』という作品は、私が一声優としての自分の幅や引き出しを広げてゆくうえでとても必要な場であり、同時に、「こんなチャンスにめぐり会えてホント良かったなと」思える場にもなってます。

――場面も、どんどん変わってくよね。最初は沖縄から始まった物語が、今度はベトナムへと移動。

確かに舞台の場は、今後沖縄からベトナムへと移りますが、お話の根幹を成す1本の線は、しっかり繋がってますから。でも同時に、舞台が変わったことにより、またいろんな伏線となる謎も増えてるんですけどね(笑)

――確かに(笑)

だけど同じく、新しいキャラクターたちとの出会いがあるというのも、やっぱり楽しいんです。

――沖縄とベトナムでは、それぞれのキャラクターの見え方さえ変わってしまうこともあるもんなぁ。

ベトナムでのハジって、沖縄で見せていた姿では絶対に考えられないような可愛らしさを見せたりもしてますからね。

――も〜何が嬉しかったって、金城香里役を演じていた門脇舞ちゃんが、ベトナム編ではムイというキャラクターとして、またも音無小夜へ絡んでたことなんだ。

そうなんです。観てる人は、すごいニヤリングな感じですよね。

――舞台設定が変わるたびに、いろんな人物との関係もどんどん謎を呼んでいくしさ。

まさに「謎が謎を呼ぶ」という言葉の似合う内容なんです。私、演じる上で“全体の物語の骨組み”というのを聴かせて戴いていたので、大体は理解してるつもりだったんですけど。各話数ごとに台本をいただき読んだとき、実際に絵のついた画面を観ながら演じたとき、さらに効果音や音楽などいろんな要素が加わり完成した作品を観たときとでは、どんどん印象や臨場感が変わっていくんです。だからみなさんには申し訳ないですけど、私的には二度三度と作品の完成形を観進めてゆくにつれ、その話数ごとに美味しさを味わってるみたいな感覚なんですよ(笑)

――でもさっきの話じゃないけど、深く観ていけばいくほど、謎もどんどん深まっていかない?

そうなんですよ〜。1話ごとに謎があって、それについて考えたり。それを意識しながら闘っているシーンを観たり。それぞれのキャラクター同士の関係や、会話のセリフ一つ一つの中へも、観てる人が「うん?」と考えてしまう謎や問いかけが含まれていますよね。だから観てると、1話がアッと言う間に過ぎていき。「この謎が消化しきれない!」「この謎どうにかして〜!!」という気持ちになり、早く次回の収録や放送が楽しみになってしまうんです(笑)

各キャラクターの何気ない仕種へ、「ドキッ!」恋の予感

――この『BLOOD+』には、“恋愛”というテーマも隠されてるんだよね。

そうなんです。収録中の現状ではまだ小夜が誰かを好きになったりというところまでは見えてないので、その辺が“恋愛”というテーマ性とどう絡んでいくのかは、私もまだわからないんですけど。たとえば宮城カイの、小夜という妹に対する心遣いだったり。宮城ジョージの、小夜を娘のように愛する想い。クラスメイトの金城香里ちゃんにも、小夜は愛されてるし。他にも、いろんな男性キャラたちから、様々な形での愛情をもらってる。。。
でも小夜は、あまりその辺のことに気づいていないから、恋愛関係に対する感情のリアクションは、演じるうえで出してないんですよ。だけど演じている私からすれば、そうやっていろいろ見えてくる恋愛関係図に、思わず顔がにや〜と緩んじゃうこともあります。

――喜多村さん自身、1リスナーとして観てて好きなキャラって誰ですか?

女性キャラクターでは、断然ジュリアが大好きです。とくにジュリアに関しては、作画スタッフさんたちの熱い情熱を込めた想いが、その絵からすごく伝わってくるんですよ。きっとその良さは、ジュリアの心情を理解してくれる人なら、わかってくれると思います。
男性キャラでは、そうだなぁ。。初期設定を観た時点では、謎が多くてクールなキャラクターのハジを「格好いいなぁ」と思って観てたし、今でもその視線はあるんですけど(笑)。お話が進むにつれ、何気ないシーンからもそれぞれのキャラクターのいろんな魅力が見えてくるから、どのキャラクターも魅力的すぎて決めることは難しいですね。

――確かに、話数が進むごとに「この人ってこうだったんだ」という意外な面が見えてくるもんなぁ。

たとえばカイにしても、沖縄時代やベトナムへやってきたばかりの頃って、「俺が小夜を助ける」「俺が、俺が」と言ってるんだけど、とても兄弟思いな面を見せていったり。現地(ベトナム)の子たちと野球をやるはめになり、とても無邪気な少年のような姿を魅せたり。リクはリクで、兄弟で泊まったときの寝室での会話やご飯を食べてるシーンで、「可愛いなぁ」「純粋な子だよね」と思える場面も見せてくれる。そういうキャラクターの意外性を多方面から見せてゆく演出もまた、私大好きなんです。

――話を観れば観るほどに、物語の中へ隠された運命を背負ったドラマ性もそうだけど。各自のキャラクターへも惚れ込んでしまえる。だからこそ、毎回グイグイ惹きつけられ、「次を早く観たい!」と思えてしまうんだろうね。

そこなんですよね。謎解きや小夜の覚醒してゆく過程の姿も見どころだけど、「だれそれが好き」と個々に“好きキャラ”が細分化され支持を受けてくのも、この『BLOOD+』へ夢中になってしまう大切な要素なんだと、私は思ってます。

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